最低賃金は全国一律1,500円にすべきだ

写真:しんぶん赤旗

 15日に全国各地で、最低賃金の引き上げを求めるデモがあったという。

 以下に、しんぶん赤旗の記事を少し引用しておく。

「貧困なくせ、今すぐ最賃上げよ」。最低賃金の大幅引き上げを求めて15日、全国各地でいっせいに大宣伝、デモが取り組まれました。「いますぐ時給1000円、めざせ1500円」「地域格差なくし、全国一律最低賃金制の確立」をアピールし、大きな注目が寄せられました。

 注目すべきは「地域格差なくし、全国一律最低賃金制の確立」という部分だと思う。最低賃金の均一化は僕も以前から必要だと思っている。1,500円という金額が妥当なのかどうかは別としても、これはぜひとも早急に手を付けるべきものだと思っているのだ。

 この問題については以前もブログで書いたので繰り返しになってしまうのだが、最低賃金を全国一律にしなければならない理由の要点は以下のようなことになる。

  • スーパーでもファストフードでも、あるいは他の仕事でも、地方と都市部でパートやアルバイトの仕事内容は変わらない。同じ仕事をしているなら、同じ賃金を支払うべきだ。
  • 地方の方が物価が安いわけではない。スーパーもファストフードもファストファッションも、ほぼ全国一律の価格設定になっている。
  • 地方の方が地価が安く賃貸アパートやマンションの家賃が廉価なのは事実だが、単身者向けのワンルームマンションなど小規模な物件ではそれほど大きな価格差が付くものではない。
  • 地方では公共交通機関が貧弱で、移動に車やバイクなどが必要になることが多い。都市部に比べるとその分だけ生活は高コストになる。
  • 支出は都市部と変わらないのに収入だけが「地方だから」という理由で少なくなれば、地方での暮らしは貧しいものになる。
  • 地方の暮らしが貧しければ、労働者は仕事と豊かさを求めて都市部に出てくる。結果として地方は過疎化と高齢化が進んでますます疲弊し、都市部は労働人口が増えて賃金が上がりにくい状況が生まれる。

 現在、都市部と地方との賃金格差がどのくらいあるかは、厚労相が発表している最低賃金の一覧を見ればすぐにわかる。

 最低賃金が最も高いのは東京の932円で、最低は沖縄と宮﨑の714円だ。差額は218円。沖縄から見ると、東京は3割以上も賃金が高いことになる。

 「最低賃金を上げろ!」という声に対してはしばしば「それだけの能力を身につけろ!」という反論があるのだが、もしその反論が正しいのだとすれば、東京のアルバイトは沖縄で同じ仕事をしている人より3割以上高い能力を有していなければならない理屈だが、そんなはずはないだろう。

 沖縄のマクドナルドも東京のマクドナルドも仕事の内容は同じで、同じような人たちが働いている。沖縄のマクドナルドで働いている人は、東京の店舗でもほぼ同じように働けるはずなのだ。でも賃金は、東京に行くと3割余計にもらえる。

 沖縄や宮﨑の最低賃金714円で、1日8時間のフルタイム労働を1ヶ月22日間続けたとする。月収は12万5,664円だ。同じ仕事を東京ですれば16万4,032円になる。差額は3万8,368円。1年で46万416円の差が付く。

 「沖縄の方が家賃は安いはずだ」と言うなら、ネットで賃貸マンションを検索してみればいい。最寄駅から徒歩10分以内、単身者が住むことを想定して1Rか1Kの物件で、築15年以内という同一条件で比較すると、じつは東京23区内も沖縄の那覇市も家賃はそれほど変わらないのだ。

 地方の最低賃金を低く抑えているのは、地方の労働者がそれで十分に生活できるからではない。生活は苦しい。貧しさを強いられる。それでも賃金を低く設定しているのは、人を雇う側である地方の事業者に配慮してのことだ。地方の事業者が従業員に東京と同じ賃金を払っていたら、事業が成り立たないことが多いということだろう。

 最低賃金は労働者のために決められているわけではない。それは事業者の都合で決められている。ならば労働者ができることは何か。それは賃金のいい地域に移動して仕事をすることだ。結果として、都市部に人が流れてくることになる。当たり前だ。地方で仕事をしても食っていけないなら、同じことをして食える場所に行くしかない。

 ニュースでは地方創生担当大臣の問題発言が物議をかもしているのだが、博物館や美術館の学芸員に観光マインドを求めよりも、地方の最低賃金を東京と同額に引き上げる方が地方は活性化するだろう。何なら東京の最低賃金を若干下げることを考えたっていい。

 最低賃金の上昇は、人件費の暴騰を意味する。各事業所はドラスチックな事業改革を進めないと生き残れなくなる。ここから本格的に、日本の働き方改革がはじまるのだ。ただでさえ人件費が高騰するのだから、だらだら残業などさせれば人件費だけでパンクしてしまう。何が何でも定時内に仕事を終わらせ、しかも生産性を上げなければならない。淘汰される事業者も多いが、逆にこれで元気になるところも増えるだろう。雇用市場は一気に流動化し、人手不足は解消される。産業界にとって、これは悪いことばかりではないはずなのだ。

 最低賃金は全国一律でまず東京と足並みを揃えよう。まず932円だ。次にそれを、1年ごとに引き上げていく。最初は1,000円。次は1,100円。さらに1,200円。1年に100円ずつベースアップさせれば、5年で1,500円になる。もちろんインフレにもなるだろう。でもそれが悪いことだろうか?

 インフレになれば、政府の税収は増えるが借金の返済は実質的に目減りする。高齢者に支払っている年金を据え置けば、年金支給を減額したのと同じ効果が生まれて、所得の若年層への転移が起きるではないか。年金暮らしをしている高齢者も、年金が実質減額になればまた働こうとする動機付けになる。働けば最低賃金は支払われるので、これは悪い話ではない。

 アベノミクスの異次元の金融緩和で通貨供給量を増やしても、庶民のところまでお金が届いていないのが現状だ。だが最低賃金の引き上げは事業者から無理矢理お金を引き出して、実際に働いている人たちにお金を届ける効果を生み出す。悪い話ではないと思うんだけどなぁ……。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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