10月31日のハロウィンは最近すっかり日本でも定着しているようで、先日は表参道で子供の仮装イベントを見たばかり。で、これをキリスト教のお祭りだと思っている人がいるので「それは違うぜ」という話をTwitterやFacebookに連投。ハロウィンについてはTwitterでもいろんな方が意味や起源を投稿してたけど、ざっくり見たところでは半分以上が間違ってたな。多くの人が、これをキリスト教だと思っている。
ハロウィンはもともと異教のお祭り(ケルトだと言われている)が、キリスト教の暦と連動して記憶され生き残っているもの。ただしルーツを見ると、そもそもはハロウィンに該当するお祭りが先にあって、それを無効化するためにキリスト教が後付けでその直後に自分たちのお祭りを持ってきたフシもある。10月31日がハロウィンで、11月1日が諸聖人の日(万聖節)、11月2日が死者の日(万霊節)なんだよな。
いずれにせよこれは、キリスト教の側がハロウィンのような民間習俗を嫌っていた証拠なんだろうと思う。古代の冬至祭に対抗したクリスマスみたいなものですな……。ライバル店舗の目と鼻の先に新店舗を作って盛り上げ、ライバル店を潰そうとする外食チェーン店やコンビニみたいな戦略かもしれない。
ところがこうした「ライバル潰し」戦略にもかかわらず、ライバル店が生き残ってしまうことが往々にしてある。クリスマスの場合は異教の祭りが見事に消えてめでたしめでたしだったのだが、ハロウィンの場合は潰せなかった。むしろハロウィンの方がずっとしたたか。
キリスト教よりも早くから祭りを祝っていた自分たちの形勢が不利だとみるや、ハロウィンの側はキリスト教に擦り寄って、自分たちの方をその関連イベントにしてしまった。つまり「諸聖人の日の前夜祭に魔物たちが蘇る」という話をこしらえて、諸聖人の日や死者の日というキリスト教公式行事のプレイベントにしてしまったのだ。
とはいえハロウィンは、ヨーロッパの一部の地域で細々と祝われていたマイナー習俗に過ぎなかった。それがアメリカに渡って「子供の祭り」としてアメリカ全土に広がり、さらにそれがハリウッド映画などを通じて全世界に輸出された。輸出される過程で「子供の祭り」という部分が消し飛んで、いい年した大人たちまで仮装して浮かれ騒ぎをしている。日本における海外文化受容のネジレの一例だが、こんなことが今でも起きるのは不思議と言えば不思議だね。