映画を観ながらメモを取る方法

P2

 マスコミ試写を観に行くたびに、耳にたこができるぐらい繰り返し聞かされる注意事項がある。「携帯電話の電源は必ずオフにしてください」だ。また「液晶画面の明かりだけでも回りのお客さまのご迷惑になりますので、上映中の携帯電話のご利用はお控えください」というのもある。携帯電話は時計代わりに利用する人がいて、以前は試写の最中でもあちこちでチカチカと携帯の明かりがともっていたのだ。最近はめっきり減ったのだが、これは映画会社のアナウンスが浸透してきたのか、あるいは来場者の持っている電話機がガラケーからスマホに換わってきていることと関係があるのかもしれない。

 ところが今日は試写を観ているとき、隣の席に座っている人が堂々とスマホの電源を入れて画面を点灯させているのが気になった。時間の確認でもなければ、メールチェックでもない。何かのサイトを見ている様子もない。どうやらスマホの画面を明かりにして、膝の上でメモを取っているらしい。うっとうしいので小声で注意した。

「すいません。携帯の明かりがうっとうしいのでやめてくれませんか」
「でもわたし、メモを取らなきゃならないんです」
「メモを取るなら一番後ろの壁ぎわでやってください。気になります」
「ご迷惑ですか?」
「迷惑です!」

 相手はこれでやっとスマホの電源を切ったのだが、納得している様子ではなかった。たぶん仕事の関係で映画を内容をメモにしておく必要があり、必要にかられてやっていたのだと思う。でもマスコミ試写というのは来ている人が全員、仕事で映画を観ているのが前提のもの。「仕事なんだから大目に見てください」というのは通用しない。だってみんな仕事なんだからね……。

 僕は映画を観ながらメモを取ることはない。どうしても必要なメモを取るが、その時は胸のポケットに突っ込んであるメモ帳とボールペンを取りだして、必要最小限のメモを取っておしまいにする。たいていのことは受付で受け取るプレス資料に書かれているし、それで不足している情報もネットで調べればだいたいのことはわかる。それでもどうしても必要なのにわからないデータは、試写のあとで受付にいる映画会社や宣伝会社の人にたずねればいいし、あとから電話やメールで質問してもいい。

 ただしこれは僕のような半端な映画の見方をしているからそれで困らないだけで、映画のシーンやカットを細かく分析していく批評の場合は、細かなメモを作ることが必要になる。僕もずいぶんむかしにレーザーディスクの解説を請け負ったとき、作品をチェックしながらシーンごとに細かなメモを作った。

 映画評論家の双葉十三郎さん(故人)は、映画を観るときに試写室に新しい大学ノートを持ち込んで、映画を観ながらメモを取ったらしい。暗闇の中で手の感覚だけで、大きめの字でメモを取る。どんどんページをめくっていくので、映画を1本観るとノートをほぼ1冊使い切ったとか。これをもとにして、そのあとに記事をまとめるわけだ。今はここまで熱心にやる人っているのかな。少なくとも僕は、試写室で映画を観ながらせっせとメモを取る人というのは見たことがない。

 たいていのことはプレス資料に書かれているのだが、それでも「メモっておけばよかった!」とあとから思うことは結構ある。プレス資料に出て来ないような端役の役名。印象に残った台詞。あとつまらないことのようだけど、スクリーンサイズがわからなくなることもある。たいていプレス資料やチラシ、試写状などに記載があるのだが、まったく何も書かれていないことも多いのだ。洋画の場合はIMDbなどで調べられるのだが、日本映画だと記載のないものもあったりして……。映画瓦版でスクリーンサイズの記載がないものは、資料に記載がなかったものだと思ってまず間違いありません。

 写真は『P2』というアメリカのサスペンス映画。暗闇の中でヒロインが携帯をライト代わりにするシーンが出てくる。真っ暗闇の中だと、液晶の明かりというのはまぶしいぐらいに明るいのです。映画館や試写室の中で、携帯を使うのはやめましょう。それをライト代わりにしてメモを取るなんてのは、もってのほかです。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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