日本の映画産業は今のところ堅調

 今年1月に映連から全国映画概況が発表されたので、それについて簡単にまとめておく。

 日本映画は昭和30年代の黄金時代には及ばないものの、かつてない勢いをいまだ保っている。観客動員数推移のデータを作ってみたが、1990年代後半からの堅調がいまだ続いているようだ。一昨年は『君の名は。』というモンスター級のヒット作があって観客数を押し上げたが、昨年はそうしたブームを呼ぶ作品がないにも関わらず、前年比96.8%という堅実な成績を残した。

 例年こうしたグラフを作る時は映連が発表しているデータをすべて使うので、昭和30年代の山が大きすぎてそれ以降の数値の推移がわかりにくくなってしまう。今回は昨年までの過去30年間に絞ってみた。気象庁の「平年値」も過去30年間の平均値だというから、30年というのもまあ妥当なものではないかと思う。(特に関連性はないけどね。)

 映画の公開本数は、年間1187本で過去最高を更新した。(これまでの最高は2014年の1184本。)僕が映画批評家として試写室で映画を観始めた1997年頃は、年間の公開本数が600本前後。毎日せっせと試写室に通っていれば、劇場公開される映画の7〜8割は観てしまうことができた。しかし今はその倍以上が公開されるわけで、これをすべて観ている人は誰もいないはずだ。

 映画は大量に作られ、大量に消費され、ほとんど観られまま消えて行く作品も多い。

 日本の映画産業は数値を観る限りでは堅調なのだが、話を「日本の映画産業」から「日本映画産業」に移すと話は違ってくる。日本映画と外国映画の市場シェアは、1990年代には完全に洋画優位だったが、2000年代後半に逆転して「邦高洋低」などと言われるようになった。日本映画は利益を上げられる優良ビジネスとなり、これがいわゆる「邦画バブル」を生んでもいたわけだ。

 ところがこの日本映画の勢いは、ピークを越えてダウントレンドに入っているようにも見える。シェア自体はまだ50%以上を維持しているが、シェアは60%ぐらいで頭打ちのような気がするのだ。

 その理由を分析するには個々の作品を取り上げねばならないだろうが、映連の概要データだけではそれが見えてこない。というわけで、今回の話はここまで。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 映画

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中