小林三剛の「易経」を購入

 少し前から気になっていた、小林三剛の「易経」を購入した。(写真の左側。右は角川ソフィア文庫版の「易経」。)

 Amazonには「易経―文語訳 (東洋医学講座) 」という品名で出品されているが、これ自体は東洋医学とはまったく関係ない。著者の小林三剛は占術の専門家として、易占の他にも干支占いや名付けなどの本を多数著しており、その一方で東洋医学(鍼灸)の専門家としての顔も持っていたようだ。

 本書は昭和59年に自然社から出された「易経」の第5版だが、発行所は有限会社宝栄企画になっている。自然社と宝栄企画の関係は不明。この本の中には、そのことについての説明は一切書かれていない。

 肝心の中身だが、「易経」の中から六十四卦にまつわる本文の読み下し文(漢文訓読体の文語訳)と、象意説明だけが記載されている。原文は未掲載。易経や易占についての説明も一切ない。十翼の中では彖伝と象伝が卦辞や爻辞に付随して訳されているが、乾卦と坤卦に付随する文言伝も含め、他の項目はすべて省略されている。

 「易経」は四書五経の中の一書で、「易経」の十翼は孔子が書いた注釈だと言われている(文献学的には否定されている説だと思う)。「易経」を儒教の経典として読むとき、十翼は欠かせない。しかし「易経」を占いの本として使用する場合には、十翼がなくてもまったく困らない。僕は彖伝と象伝もほとんど使わないぐらいだ。(たまに参考にするけれど。)

 と言うわけでこの本は、「易占」で占いをする人には便利な本だと思う。各卦に付けられているのは、著者が独自に付記した各卦の説明。これは省略された十翼のエッセンスであり、卦の解説であり、占いをする上での伝統的な解釈でもある。

 写真は乾卦の解説だが、これを見れば占いの際の方向性や解釈の手掛かりが、ある程度はつかめてくるだろう。易占の場合は、こういう手掛かりが大事なのだ。

 「なぜこういう解釈になるのか?」ということについては、他の詳しい本を見るとちゃんと書いてあるはずだし、書かれていなければその理由を推理してもいい。そこからまたその卦についての理解が深まり、解釈の幅や厚みが出てくると思う。

 印刷は活版の紙型から清刷りを作り、それを版下にしてオフセット印刷したようだ。表紙はビニルクロス装に箔押し印刷。これはきれいに型押しささていて高級感がある。大きさは文庫本サイズだが、カバーが小口から飛び出しているから、文庫サイズよりちょっと大きいぐらいだ。

 これで2,600円+消費税(税込2,808円)が高いか安いかは、この本をどう使うかによる。しかしどのみちこの本だけでは易占のことも周易のこともわからないから、まず最初は岩波版なり、朝日選書判なり、徳間版なり、あるいは他の出版社のものなり、何らかの「易経」を手に入れることになるだろう。

 個人的には満足している。普段は岩波版を使っているが、旅行の時はこれを1冊持って出ればいい。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 読書

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