未来の年表 人口減少日本でこれから起きること

 日本の人口は数年前から減少しはじめたが、それを実感している人はほとんどいないだろう。だが人口減少の速度は今後どんどん速まり、誰が見ても「ここ数年で人口が減っている」と思うようになる時代がやって来る。

 この本はそうした人口減少社会で具体的に何が起きるのかを、具体的なデータを引用しながら紹介していく本だ。

 著者は人口減少について、決して楽観的な見方をしていない。著者曰く、少子化は「静かなる有事」なのだ。著者は安倍首相が掲げる「新三本の矢」などまるで信じていない。人口が減れば、経済も縮小する。社会の高齢化によって社会保障費も肥大化する。

求められている現実的な選択肢とは、拡大路線でやって来た従来の成功体験と訣別し、戦略的に縮むことである。(P.11)

少子高齢化とは、これまで「当たり前」と思っていた日常が、少しずつ、気づかぬうちに崩壊して行くことなのである。(P.88)

 人口減少対策は待ったなしだ。著者は日本の高齢者人口が最大になる2042年を見据えて、それに向けた対策に日本中で取り組まねばならないと説く。

 2042年は25年後だ。たった25年後とも言えるし、25年もあるとも言える。日本は黒船来港からたった15年で明治維新を成し遂げ、日本中が焼け野原になった昭和20年の敗戦からたった10数年で奇跡的な復興を成し遂げた。日本人は問題意識を共有して「この方向に進むぞ!」と決めれば、思いがけない力を発揮できる民族なのだ。

 問題は2つある。1つ目は「人口減少に対する危機感」が、日本の中でまだほとんど共有されていないこと。いまだに「日本は人口が多すぎる。減ったぐらいでちょうどいい」と言う人が大勢いる。もう1つは仮にこの問題が日本中で広く共有できたとしても、実際に社会の担い手となる若年労働者層が、日本はきわめて少なくなってしまっていることだ。2025年には団塊世代も75歳以上の後期高齢者になる。

 問題は多い。しかし動き始めなければ何もはじまらない。まずは人口減少社会が生み出す現実を、きちんと見据えることだ。この本はそのための、良いテキストになっていると思う。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 読書

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中