自主避難者への支援には一定の線引きが必要

 今村復興大臣が記者会見で、質問した記者に対して激高した問題。

 まあ怒鳴り散らした時点で大臣としての資質はないわけだし、怒鳴ったり恫喝したりすることで記者の質問を止めさせようとするのは責任ある立場の者としてまったくダメだと思う。

 しかし「自主避難者は自己責任」という大臣の主張について言うなら、僕はそこに一定の正当性があるように思うのだ。

 もちろん自主避難が最初から最後まで、すべて自己責任だというわけではない。自主避難にはそうするだけの正当な理由があったし、そこに国が一定の支援をするのも当然だと思う。

 原発事故直後にはかなり広範囲で放射能汚染を心配する声が高まり、東京でも浄水場から放射性物質が発見されてパニックになり、コンビニや自販機から一時的にだがミネラルウォーターが消えたことがある。事故を起こした原発には人が近づけない状態が続き、事態が沈静化するのか、さらなる二次災害や三次災害が起きないとは誰にも言えない状態だった。

 テレビでは政府関係者が「現時点では直ちに健康被害が出ることはない」と繰り返し発言しいてたが、「直ちに健康被害が出ない」としても、長い時間をかけても健康被害が出ないことを確約してくれる人は誰もいなかった。

 そんな中で、福島県外でも自主的に避難を決める人たちがいた。この人たちを「大げさだ」と笑うことはできない。福島で大きな余震が起きて燃料プールから水が漏れたり倒壊したりしていたら、それで福島を中心とした東日本全域が壊滅していたかもしれない……という話が出てきたのは、事故からだいぶたってのことだと思う。

 万が一にでもそうした大規模事故が起きていたら、自主避難者は「先見の明があった」と言われていたに違いない。

 そんなわけで、自主避難についても何らかの支援があって当然……とまでは言わぬまでも、何らかの形で公的な支援があるのは自然な話だと思う。しかし事故終息のめどが立ち、復旧復興を目指している中で、自主避難者への支援を永遠に続けるわけには行かない。

 事故が起きて6年がたつ。福島の原発周辺自治体ですら、強制的な非難指定が解除されて住民が帰還しはじめている。現在最優先でやるべきことは、そうした人たちへの生活再建の支援だ。自主避難者への手当ては後まわしにされたり、打ち切られて当然だと思う。

 自主避難したことそのものを、非難することはできない。事故直後のある段階では、自主避難こそがもっとも賢明な判断だったこともあったに違いない。でも行政の手続きとしては、どこかで支援打ち切りの線引きは必要になると思う。個別の事情について特に斟酌が必要なものについては、司法の場に持ち込むなどして個別に判断していくしかないだろう。

 これは今村復興大臣を擁護しているわけでも何でもない。大臣はダメです。記者の質問に感情的になって、声を荒げた時点でもうだめ。これは教員が生徒に体罰を振るって怪我をさせた時、「生徒の態度も悪かった」というのが言い訳にならないのと同じです。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中