日本もいずれ徴兵制になるだろう

 少し前に、スウェーデンで7年ぶりに徴兵制が復活するというニュースがあった。

 ロシアの脅威に対抗するためらしいが、大きく定員を拡張するというわけではなく、必要な兵員が集められない状態を解消するためらしい。志願する若者が減って、4,000人の人員が必要なのに2,500人しか集められなかったのだとか……。

 徴兵制の話になると、日本では特に保守派の側から「あり得ない」という話が出てくる。近代戦では兵器のハイテク化が進んでいるから、徴兵で集められた兵士には扱いきれないというのだ。一方で、同じく保守派の人たちからは、「最近の若い連中はぶったるんでいるから、徴兵制にして軍隊で鍛え直せばいい」という話が出たりもする。

 同じ保守派の中から、「徴兵制はあり得ない」と「徴兵制導入すべし」という正反対の話が出てくるのが不思議と言えば不思議なのだが、これはどちらも大きな間違いがある。それは「徴兵制は一定年齢の若者を根こそぎ軍隊(あるいは自衛隊)に入隊させる制度である」という前提が大間違いなのだ。

 確かに日本では、第二次大戦末期に日本中の若者を根こそぎ軍隊に動員した。日本の映画やテレビドラマに出てくる徴兵制はこうしたタイプのものが多いので、日本人は徴兵制と言えば「若者が全員軍隊に入る」ものだと思っている。(まあそういう制度の国もあるのだけれどね。韓国とか。)しかし日本で若い男性が根こそぎ軍隊に引っ張られたのは戦時のことであって、平時には一定の定員を満たすために徴兵制が活用されるだけだった。(韓国は事実上の戦時体制なのです。)

 平時の徴兵制の事例として、今回のスウェーデンの例を見てみよう。スウェーデンでは徴兵年齢である18歳の国民が男女合わせて約10万人いて、その中からアンケートなどで徴兵対象候補を1万3,000人に絞り込む。実際に徴兵されるのは、このうち適性検査で選抜された4,000人なのだ。10万人のうちの4,000人だから、25人に1人という勘定になる。兵役期間は9〜11ヶ月だ。徴募も並行して行うというから、実際に徴兵でまかなわれる兵員はさらに少なくなるかもしれない。

 日本で戦前に行われていた徴兵制でも、徴兵検査で成績優秀者から甲乙丙の種別に振り分けて、必要な兵員を甲種合格から順番に徴兵していった。乙種なら滅多なことでは徴兵されず、丙種は実質的に兵役不適当者だ。徴兵が行われていた戦前の日本でも、平時であればほとんどの人は軍隊とは無関係だったのだ。

 こうした実態を見ると、保守派が「若者を鍛え直すために徴兵制を」と言うのがいかに現実離れした話なのかがわかる。そもそも鍛え直すことが必要なほどひ弱な若者は、最初から軍隊には入れない。

 「最近のハイテク兵器は云々」という話も同じで、これは国民を根こそぎ動員して、頭が悪くてやる気もない人材まで兵隊にしなければならないと考えているのだ。実際には事前の適性検査をして、兵隊になる気があって、それなりに頭の回転のいい人間しか軍隊には入れない。だからハイテク兵器云々はさほど問題にならないだろう。

 現にスウェーデンでは、徴兵制で不足の兵員を補おうとしているのだ。スウェーデンでは半世紀以上前のローテク兵器しか使っていないのか? まさか! ではスウェーデンの若者は、日本の若者よりも頭がいいからハイテク兵器をすぐに使いこなせるのか? ご冗談を! 日本もスウェーデンも、この点ではさほどの違いがあるとは思えない。

 日本が徴兵制を導入しない理由は、単に現在の志願制(徴募制)で必要な兵員が賄えているからなのだ。しかしそれが賄えなくなって兵員が不足すれば、安全保障上の危機を解消するために徴兵制を導入せざるを得なくなるだろう。別に海外で戦争をしたいとか、そういう物騒な話ではない。現在の自衛隊の兵力規模を維持するために、そうせざるを得なくなるというだけの話だ。

 安倍首相は「自衛隊は人気の職場だ」と言うのだが、若年人口が激減していく日本で、いつまでも自衛隊が必要な人員を確保できるのだろうか? 僕はこの点に関して、安倍首相ほど楽観的には考えていない。若年労働者層は、日本中のあらゆる産業、あらゆる職場で引く手あまたなのだ。

 自衛隊が特別に魅力的な職場であるならまだしも、基本的にはキツイ・キタナイ・キケンの3K職場だ。建設業にも運送業にも若者が入ってこないのに、自衛隊だけは今後も間違いなく人が集まるという根拠は何もない。

 自衛隊はいずれ人員不足になるだろう。ロボット技術やAI技術でそれを補える部分もあるだろうが、それでも最低限必要な兵員というものは存在する。安全保障の分野が無人になることはあり得ないからだ。安全保障は国の命運に関わることだから、人員が不足するなら何としてでも人を集めなければならない。

 最期に行き着くのは徴兵制だろう。そしてその日が訪れるのは、それほど遠くないと思う。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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