ロボットやAIは人口減少対策になるのか?

鉄腕アトム

 日本は少子化で人口が減少しはじめている。現在は統計上の数字として「人口が減ったらしい」という話をしているだけだが、あと10年もすると、街を歩いていても高齢者ばかりで若い人たちがほとんどいないという状態になるはずだ。

 まあ今でも地方都市の駅前商店街や、平日昼間の映画館は似たような状態ではある。それが日本全国どこに行っても、どんな状態でも、似たような風景になってしまうわけだ。

 これはことさら暗い未来を予言しているわけではなく、人口推計からわかる単なる事実を述べている。

 日本が高齢者ばかりになる一方で、労働人口である若年層の人口は減っていく。既に日本のあちこちで人材難が起こっていて、後継者がいないために会社を解散したり整理したりする事例は多い。今後はそれが、ますます加速して行くことだろう。

 日本の社会保障は世代間扶養方式なので、少なくなった若年層の肩に、高齢者の生活がガッシリとのし掛かる。

 「団塊世代は今後20年で半減するから負担はだいぶ減るはずだ」と言う人も入るが、そういう人たちは日本の人口ピラミッドを見てみればいい(既にピラミッド型にはほど遠いけれど)。団塊世代の人口は確かに突出して多かったが、その後も「戦後ベビーブーム世代」が大きなボリュームを占めているという事実は変わらない。団塊世代が片付いても、「高齢者の数が多い」という日本の人口構成は変わらないのだ。

 ならばどうするのか? 「ロボットやAIの技術で労働者不足は解消できる」「最新技術で生産性が上がれば、社会保障なども解決できる」と言う人がいる。

 これにはいくつかの問題がある。まずは期待されているロボットやAI技術が、いつ実用化されるかという問題だ。

 ロボットやAIの技術が、人間の仕事の多くを代替するようになることは間違いないと思う。これは18世紀末に起きた産業革命にも匹敵する大変革であり、人間の生活そのものを根本から変えてしまうに違いない。しかしその技術を、我々はまだ手にしていない。自動運転あたりは比較的早く実用化されそうではあるが、それすら完全自動運転が実用化されてバスやタクシーの運転手が不要になるまで、まだ10年や20年はかかるのではないだろうか。

 仮に技術が完成しても、それが普及浸透するまでは一定の時間がかかる、産業革命は18世紀末のイギリスではじまったが、それがヨーロッパ各国に広まったのは19世紀前半だ。自動車は19世紀末から20世紀初頭には、完全に実用化の段階に入っていた。しかしそれが庶民のレベルにまで普及したのは、日本では1960年代になってからなのだ。

 実用に足るだけのロボットが量産化されたとしても、それが普及するまでは一定の時間がかかる。ロボットが実用化され、AIが実用化され、人間の仕事の大半を代替できるようになったとしても、その普及に時間がかかれば、労働者不足はまったく解消されない。そしてこの間にも、日本の人口減少と労働者不足は進行していくのだ。

 今から数十年後、かなり衰退が進行している日本に、ロボットやAIで大規模な設備投資を行う余裕があるだろうか? グローバル経済の時代には、技術に国境が無い。技術を一国で独占することはできないのだ。数十年後の日本がロボットやAIで世界のトップレベルの技術を仮に持っていたとしても、日本でそれが売れなければ技術は海外に移転するだろう。

 ロボットやAIは夢の技術だが、それが夢のようなバラ色の未来を約束してくれるわけではない。そうした不確定な未来に希望をつなぎ、「少子高齢化や人口減少も恐るるに足らず」というのは、あまりにも楽観的すぎると思う。それは「もうじき共産主義革命が起きる」と信じていた左翼活動家の妄想とどこが違うのだろうか?

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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