アメリカが民主主義のチャンピオン?

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 アメリカを訪れた安倍首相が日米首脳会談後の記者会見で、次のように述べた。

農民大工の息子が大統領になる。
 その事実は、150年前、(江戸幕府の)将軍の統治の下にあった日本人を驚かせ、民主主義へと開眼させました。米国こそ民主主義のチャンピオンであります。

 これは一昨年に行われたアメリカ連邦議会上下両院合同会議での安倍首相演説を引き継ぐものだ。一昨年の演説で、安倍首相は次のように述べている。

 農民大工の息子が大統領になれる、そういう国があることは、19世紀後半の日本を、民主主義に開眼させました。
 日本にとって、アメリカとの出会いとは、すなわち民主主義との遭遇でした。出会いは150年以上前にさかのぼり、年季を経ています。

 『民主主義のチャンピオン』という表現もじつはこの時の演説にあって、そこでは日本にやって来たアメリカの駐日大使の名前を次々に挙げてこういっている。

民主主義の輝くチャンピオンを大使として送って下さいましたことを、日本国民を代表して、感謝申し上げます。

 安倍首相の対米従属ぶりにも困ったものだと思う。多少のリップサービスはあっても仕方ないが、ここまでおべんちゃらを言う必要はないんじゃないだろうか。聞いていて恥ずかしいよ……。

 150年以上前のアメリカと日本の出会いは、決して民主主義との出会いではなかった。日本はペリーの黒船が象徴する圧倒的な軍事力に屈して開国し、日本の近代化を急いだ。しかし日本が目指した近代化は、必ずしも「民主主義」とイコールではない。

 明治日本が行ったのはまず「富国強兵」であり、思想的には「和魂洋才」が奨励されている。海外の文明を積極的に取り入れて日本を富ませ、軍事的にも諸外国に対抗できる力を蓄えながら、精神面では日本らしさを失うまいとしたのだ。

 日本で民主主義が一応の定着を見せるのは、明治憲法が作られ、帝国議会が開催され、政党政治が根付いた大正デモクラシー以降のこと。しかしこれは戦争で解消してしまい、現在の日本型民主主義は戦後の日本がGHQと一緒になって作ったものなのだ。

 これは学校教育やマスコミの啓蒙活動を通して庶民の間にも浸透していく。GHQによる日本統治、GHQに押し付けられた日本国憲法、GHQの後押しを受けた教育改革によって生まれた日教組教育、戦前の軍国主義礼賛から左派に転向したマスコミの報道が、日本の民主主義の産みの親だ。何のことはない、これは安倍首相が毛嫌いする「戦後レジーム」そのものではないか。

 安倍首相は「アメリカに押し付けられた日本国憲法が日本をダメにしている」と言いながら、押し付けた張本人をアメリカの民主主義を礼賛してみせる。ニコニコしながら『民主主義のチャンピオン』と持ち上げ、幕藩体制の中で眠りこけていた日本人たちの蒙を啓いた大恩人だと感謝してみせるのだ。

 言うまでもないことだが、民主主義の形はひとつではない。近代型の民主主義国家であっても、イギリスとフランスの民主主義の形は違うし、アメリカの民主主義の形もまた違う。日本だって当然違うのだ。だが安倍首相は『米国こそ民主主義のチャンピオン』だとのたまい、各国が独自に発展させてきた民主主義を、アメリカを頂点とする序列の中に組み込んでしまう。

 アメリカが民主主義のチャンピオンなら、日本は何なんですかね? チャンピオンの付け人か?

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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