個人の自己防衛としての少子化

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 今年もまた、保育園に子供を入れられずに困っている家庭が多いらしい。

 昨年は「保育園落ちた、日本死ね」という匿名ブログでのつぶやきが話題となり、流行語にも選ばれている。これについては「死ねとはナニゴトか」という批判の声も多かったが、僕は当時から「死ねなどと言わずとも、日本は死につつあるのだ」という認識だ。そしてそれは今も変わらない。

 そもそもなぜ待機児問題が解消しないのか? 難しい話ではない。じつに簡単な話だ。理由は政治家も行政も、この問題について本気で解決しようという気持ちがないからに他ならない。

 なぜ政治家や行政がこの問題に本気で取り組まないのか。それは「何が何でも保育園を作れ!」という、地域住民からの要望がないからだろう。優先すべきことは、他にいくらでもある。「何が何でもまず保育園を」という声がそれほど大きくないのであれば、あえてそれを優先する必要はない。

 保育園に通いはじめるタイミングの子供を持つ親は、どの地域でも常に少数派だ。保育園に子供を入れられずに困り果てている家庭は、各地域で数件から多くても数十件だろう。ならばそんなものは無視しても構わない。どうせ騒ぐのは年明けの1月から3月頃までで、あとは本人たちで何とかするしかない。

 役所にとって待機児問題は地域のごく少数の声であり、しかもその季節さえやり過ごしてしまえば後は聞こえてこない話だ。

 これに加えて、「子育てには各家庭がまず責任を持つべきだ」という声もある。

 昨年「日本死ね」が話題になったときも、「保育園の定員に余裕がある地域に引っ越せばいいではないか」という意見をずいぶん見かけた。あるいは「子供を生んだのは本人の選択なんだから、その責任を自治体や国に求めるのはおかしい」という声もあった。「無認可の託児所やベビーシッターなど、多少割高でも利用できるサービスは使えばいいではないか」という声もある。

 こうした意見は正しいかもしれない。いや、間違いなく正しいのだ。「子供は家庭で育てるもの」だろうし、「子育てについてはまず親が責任を持つべきもの」であるのは当然だ。正論だろう。

 だがこうした正論が、結局は「子供を持つ親たち」の負担を大きなものにする。

 子供が生まれても保育園に余裕のある地域に引っ越せない人は、最初から子供を生むべきではない。割高な保育所やベビーシッターを利用する経済的なゆとりのない家庭は、最初から子供を持つべきではない。

 で、その結果がどうなったのか? 日本は際限の無い少子化に突入している。

 子供を持つことや子どもを育てることについての負担と責任をすべて個人に求めるなら、その負担と責任を回避したい人は最初から子供を持たなくなる。それが必然なのだ。

 個々の人間はあらゆることを損得で考えて行動するわけではない。子供が生まれても負担ばかりが大きくて得することはほとんどないが、それでも子供を持とうとする人はいる。

 しかし社会全体で見ると、経済的に有利な選択をし、経済的に不利益となる選択を避ける傾向がある。子供が生まれれば大変そうだから子供を持たない。子供を持たないならそもそも結婚する必要もない。そうした選択の結果が、現在の晩婚化・未婚化・少子化ではないのか。

 個人レベルの損得で考えれば、結婚せず、子供も持たないのが合理的な選択になる。僕も含めてろくな考えもなしに結婚して子供を持ってしまうおっちょこちょいもいるわけだが、個人の損得レベルで考えれば、これは間抜けな選択と言うほかない。現在の日本では、結婚しないこと、子供も持たないことが正解だ。僕は間抜けなアホである。

 もちろん「結婚せず子供も持たない」が日本社会のスタンダードになってしまえば、これは社会的に大きな損失を生み出すだろう。すでにその毒は回りはじめているが、それは個人には関係ない。日本社会が超高齢化しようと、日本の社会保障が破綻しようと、子供を持たない方が個人レベルでは得なんだから、その選択を優先すべきなのだ。

 もしも日本が本気で少子化に取り組みたいなら、個人レベルの損得勘定で「子供を生むと得をする」仕組みを作らなければならない。でもそんなことが、今の日本で可能だろうか?

 日本の少子化は止まらないだろう。今後も子供の数は減り続けるだろう。日本は死ぬだろう。でもそれは、日本人が自ら選んだ道なのだ。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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