ブッダが説いたこと

ブッダが説いたこと

 先日読んだ「仏の教え ビーイング・ピース―ほほえみが人を生かす」も英語から訳された仏教入門書だったが、本書「ブッダが説いたこと」もやはり英語で書かれた仏教入門書の翻訳だ。

 訳者の今枝由郎は最近「スッタニパータ」「ダンマパダ」の新訳が評判になったチベット学者だが、この本でも仏教用語を伝統的な漢訳に頼らず英語から日本語に訳している。これが実に新鮮だ。

 例えば仏教の基本的な概念である「苦」は、パーリ語やサンスクリット語の音のまま「ドウッカ」と訳される。ドウッカは単なる苦痛や苦しみではなく、もっと幅広い意味を持っているからだ。

 このため四聖諦(四諦)も、「ドウッカの本質」「ドウッカの生起(起源)」「ドウッカの消滅」「ドウッカの消滅に至る道」となる。

 同じように、縁起は「条件付けられた生起」となり、五蘊は「五集合要素」に、十二因縁は「十二項目」になる。(八正道はそのまま「八正道」なのだが、これは「八つの正しい道」というわかりやすさからかもしれない。)

 もちろん伝統的な仏教に慣れている人は、こうした言葉を頭の中で伝統的な漢訳用語に置き換えたり相互変換しながら読むことになるのだろう。しかし伝統的な漢訳用語の中で固定化されていく意味が、新しい言葉の中で解きほぐされていくのは、読んでいてある種の「快感」ですらある。

 著者はスリランカ出身の学僧であり、本書も基本的にはテーラワーダ仏教(上座部仏教)の視点から書かれている。しかし四聖諦や八正道、縁起、十二因縁などは仏教の基本概念なので、大乗仏教の信徒にとっても十分参考になるだろう。

ブッダが説いたこと (岩波文庫)
ワールポラ・ラーフラ
岩波書店
売り上げランキング: 62,421
投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 読書

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中