映画人口1億8千万人

映画人口推移

 昨年(2016年)の映画統計が発表された。一言で言えば、日本の映画業界は絶好調だ。

 1990年代後半から映画人口は堅調だったが、これがついに1億8千万人の大台を突破。これは1974年(昭和49年)以来のことだ。

 平均入場料も微増して、映画興収の合計も過去最高の2,355億円になっている。昨年は2,171億だったので、181億円ほど売り上げが増えたことになる。前年比8.5%増しだ。

 ただしこの売り上げ増は、ほとんど『君の名は。』でまかなわれている。

 『君の名は。』はまだ上映中だが、映連の統計上は235.6億円で中間集計されている。これが2016年文句なしのナンバーワン作品であることは言うまでもない。

 一方その前年、2015年のナンバーワン作品は『ジュラシック・ワールド』の95.3億円。『君の名は。』との差は140億円で、一昨年との興収の差181億円のおよそ8割近いのだ。

 『君の名は。』恐るべし。いや、日本映画界としては『君の名は。』に感謝だろう。昨年この映画がなければ、観客動員数や興収は横ばいか減少になっていた可能性があるのだ。

 要するに日本の映画興行というのは、「ヒット作が1本出るか出ないか」で大きな差が生まれるという、不安定な水商売なのだ。エンタテインメント産業として、長期に安定した利益を生み出すような構造にはなっていない。

 興収ランキングの上位作品を見ると、アニメ作品や若者向けの恋愛映画が大半を占めている。『君の名は。』はその両者を兼ねて大ヒットしたわけだが、こうしたジャンルの偏りに、多少の危うさを感じないでもない。

 現在の日本は高齢化社会で、高齢者が市場のイニシアティブを握っている部分も大きい。しかしこうした層に届く作品が、ほとんど映画館にかからず、仮にかかったとしても評価されないのではないだろうか。

 子供や若者向けの作品で「映画鑑賞」という習慣や体験を植え付けたあと、観客の成長に合わせてそれをキャッチアップしていける企画がないと、映画は「女子供が観るもの」になってしまうような気がする。

 昨年は出産数がついに100万人を割り込み、日本は本格的に人口減少、若者人口減少の時代に入るのだ。今のまま「子供と若者向けの企画」ばかりが幅をきかせていると、10年後や20年後には日本の映画界が壊滅的な状態になるかもしれない。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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