アメリカは神の国である!

トランプ大統領就任演説

 トランプ大統領の就任演説で「アメリカ第一主義」ということが言われていたのだが、そもそもアメリカが自国第一主義ではなく、他国優先で自国を二の次にしたことなんてないのではなかろうか。

 演説の中で盛んに「取り戻す」という言葉を連発するのは、日本の安倍首相が「日本を取り戻す」と言っていたのと同じで、その前提には「自分たちのものが不当に他者に奪い取られている」という被害者意識がある。

 これは容易に排外主義につながるわけで、日本もアメリカも、あるいはヨーロッパも、今後はどんどん排外主義に向かうのだろうなぁ。

 ……てなことを書こうかと思っていたのだが、就任演説を見ていると数カ所に「神」という言葉が出ていたので、それについて書いておこうと思う。

 トランプ大統領は演説の中でこう述べている。

私たちの政治の根本にあるのは、アメリカに対する完全な忠誠心です。そして、国への忠誠心を通して、私たちはお互いに対する誠実さを再発見することになります。もし愛国心に心を開けば、偏見が生まれる余地はありません。

聖書は「神の民が団結して生きていることができたら、どれほどすばらしいことでしょうか」と私たちに伝えています。私たちは心を開いて語り合い、意見が合わないことについては率直に議論をし、しかし、常に団結することを追い求めなければなりません。アメリカが団結すれば、誰も、アメリカが前に進むことを止めることはできないでしょう。そこにおそれがあってはなりません。

私たちは守られ、そして守られ続けます。私たちは、すばらしい軍隊、そして、法の執行機関で働くすばらしい男性、女性に、守られています。そして最も大切なことですが、私たちは神によって守られています。

 これはドナルド・トランプ新大統領という個人の感覚と言うより、アメリカ人が広く共有している感覚なのだろう。ここでは「アメリカに対する完全な忠誠心」が、「神の民の団結」の同義語のように語られている。アメリカの軍隊やアメリカの公務員がアメリカという国を守っているのと同じように、神もアメリカに特別な配慮をして守ってくれていると、トランプは国民に向けて語りかけているのだ。

 アメリカ合衆国は、神から特別な恩寵を与えられている。神の恵みが特別な配慮を持ってアメリカに降り注いでいるがために、アメリカは世界最大の経済大国になり、世界最大の軍事大国になったのだ。

 アメリカにはメイフラワー号で新大陸に渡った「ピルグリム・ファーザーズ」という建国神話があり、キリスト教は見えざる国教として長く国家や社会の精神的な規範となってきた。その神話の延長上に、今回のトランプ大統領の就任演説はある。

 国家の求心力の源泉となるのは、合理性や法的な正統性、崇高な理念ではない。それは不合理で必ずしも歴史的な実証を経ていない「神話」なのだ。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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