日本のクリスマスは世界一早く終わる

恵比寿ガーデンプレイスのクリスマスツリー2013

 クリスマスはキリスト教の三大祝日のひとつだが、今ではすっかり日本の季節行事に取り込まれている。もちろんクリスマスは世界中で祝われているわけだが、日本のクリスマスは世界一早くやって来て、世界一早く去って行くという事実を知る人は少ないと思う。

 まず誰にでもわかる事実として、時差の問題がある。日本は欧米よりも早く12月25日がやって来て、欧米よりも早く12月26日になる。しかしこれを言うなら、オーストラリアやグアム、ニュージーランドの方が日本より数時間先行して日付が変わるのだ。これでは世界一には成り得ない。

 日本が世界一早くクリスマスを消費してしまうのは、12月25日というクリスマス当日のことではなく、季節行事としてのクリスマスのことだ。

 キリスト教ではクリスマスの季節が教会歴によって決まっていて、クリスマス当日(12月25日)からさかのぼる4週前の日曜日からアドベント(待降節)がスタートして本格的なクリスマス・シーズンとなる。これを指折り数えるのは回りくどいので、聖アンデレの記念日(11月30日)に一番近い日曜日がアドベントのスタートになるという覚え方もある。今年は11月27日がアドベントのスタートだった。

 アメリカでは11月の第4木曜日にある感謝祭の祝日(サンクスギビングデー)の翌日から、正式なクリスマス・シーズンになるのが習わしだ。映画『三十四丁目の奇蹟』(1947)には、サンクスギビングデーのパレードでサンタクロースが街にやって来る姿が描かれる。その翌日から、デパートのおもちゃ売り場でセールがはじまるわけだ。

 サンクスギビングデーは木曜日なので、クリスマスの大売り出しは必ず金曜日にスタートする。これがブラックフライデーで、最近は週明けの月曜日はネット通販のセール開始日ということでサイバーマンデーと呼ばれたりするらしい。

 日本はサンクスギビングデーと無関係なのだが、数年前からアメリカに倣って一部の小売店でブラックフライデーやサイバーマンデーのセールを行うようになっている。しかし一般には日本でクリスマスセールがはじまるのはそれより早く、最近は10月31日のハロウィンが終わると商店はクリスマスの飾り付けになるのではないだろうか。

 日本のクリスマスは11月にはもうやって来る。これが「日本では世界一早くクリスマスがやって来る」という意味だ。

 日本では11月15日前後に七五三があり、以前は子供用品を扱っている小売店は大々的に七五三セールをやっていたような気もする。しかし最近は子供の数が減ったことで七五三の行事は規模が縮小し、クリスマスセールが半月ほど前倒しされているのではないだろうか。

 というわけで、日本ではクリスマスシーズンが世界一早くやって来る。ではクリスマスはいつ終わるのか?

 日本のクリスマスは12月24日のクリスマス・イブが行事のピーク。25日の朝に全国の子供たちが枕元に置いてあるサンタクロースからのプレゼントを見つけた頃には、クリスマスのムードは街から消え始める。25日の午後にはクリスマスの飾り付けは季節はずれのものになり、26日には完全に取り払われて正月飾りの準備が始まるのだ。

 しかし年末年始に海外旅行に行ったことがある人は、1月になっても街の中にクリスマスの飾り付けが残っていることに気づくはずだ。欧米ではクリスマスのシーズンが年をまたいで1月初旬まで続く。だからこそ有名なクリスマスソングの中でも、次のように歌われているのだ。

We wish you a Merry Christmas,
We wish you a Merry Christmas,
We wish you a Merry Christmas,
And a Happy New Year.

 クリスマスのお祝いと新年のお祝いは別々のものではなく、本来はワンセットになっている。教会の暦では1月6日までがクリスマス・シーズンで、6日か7日にクリスマスの飾りを取り外す。地域によってはほとんど1月一杯、飾りを残しているところもあるらしい。だから海外のホテルで年が明けてもクリスマスの飾りを残してあるのは、人手が足りなくて片付けができないとか、ボンヤリしていて飾りを外し忘れてしまったわけではない。季節の飾りとして、当然のように残してあるものなのだ。

 世界では年末年始の行事と一体化しているクリスマスを、年末年始の行事から分離させているのが日本のクリスマスだ。12月25日の午後になるとそそくさとクリスマスの飾りを片付け、新年の祝いの飾りに入れ換えてしまうのは、世界の中でもおそらく日本ぐらいではなかろうか。

 もちろん日本も含めたアジア圏では、古くからクリスマスより年末年始を盛大に祝う習慣がある。しかし日本以外のアジアの国々では、新暦(グレゴリオ歴)ではなく伝統的な旧暦(太陰太陽暦)で新年を祝うことが多い。中華圏では旧正月を春節として盛大に祝うし、中国や韓国など東アジアや東南アジアの多くの国で旧正月が法定休日になっている。

 それに比べて、日本人は旧正月に何もしない。正月の行事を一式すべて、新暦の正月に移動させてしまったからだ。その結果、クリスマスの飾り付けを25日に片付けて翌日からは正月飾りにするという、ひどくせわしない年末を過ごすことになってしまったのだ。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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