出生数がいよいよ100万人割れ

サンタクロース

 日本の出生数が、今年はいよいよ100万人を切るらしい。子供の数については「合計特殊出生率」が盛んに議論されるのだが、社会現象としては「出生数」の方がわかりやすいかもしれない。「少子化」とは、要するに「子供の数が減ること」だからだ。

 100万と言ってもちょっとピンと来ないのだが、1947年から1949年に生まれた「団塊の世代」は毎年250万人以上の出生数があったという。現在はその40%になってしまったわけだ。日本は海外からの移民が無視できるほど少ないので、出生数がそのまま将来の人口につながる。

 100万人の半分は女性だ。合計特殊出生率は1人の女性が一生の間に生む子供の数だから、これが仮に1.4だとすると、この100万人の次の世代で生まれる子供は70万人に減ることになる。その70万人がもう1世代を経ると、合計特殊出生率が同じく1.4で、生まれる子供の数は49万人に減少する。世代交代の周期を仮に30年だとすると、60年後には日本の出生数が50万人を割り込むわけだ。

 1940年代後半の出生率250万人が70年かけて40%に減少したことを考えると、今後の出生数減少ペースももっと急激なものになるかもしれない。

 子供の数が少なくなれば、世の中はそれに合わせた仕組みや考えに急速に適応していく。単に状況に適応するだけでなく、過剰なまでの適応をしていくことになる。その象徴が、最近になって保育園や幼稚園、小学校などが、地域の中で「迷惑施設」とされていることだろう。「子供が少ない社会」ではなく「子供がいない社会」を普通の状態として受け入れる人にとって、子供が集まって集団生活をする施設というのは、それだけで日常の平安を脅かす存在になってしまうのだ。

 子供の数が減ることで、「子供がいない方が望ましい」とか「子供の存在は迷惑だ」と考える人が増えていく。通勤ラッシュの電車に子供を乗せるな、列車のグリーン車に子供を乗せるなという意見は既にあるはずだが、そのうち社会のあちこちで「子供を連れてくるな」という声は高まってくるだろう。

 子供が少なくなることで、かつては子供向けと思われていたサービス施設やレジャー施設も中高年向けの施設へとシフトしていく。その時代のボリュームゾーンにフォーカスしないと、商売が成り立たなくなるからだ。いずれは国内遊園地のメインターゲットからは子供が排除され、「子供は遊園地に来るな!」という時代がやって来ることは想像に難くない。

 日本では産科や小児科が減っていくという話もある。生まれる子供の数が減れば産科のニーズは減り、子供の数が少なくなれば小児科の数も減っていくのは当然だ。こうして子供を産み育てることは、ますます困難になっていく。

 要するに社会が少子化に対応し、人々が子供のいない状態に慣れてそれを当たり前だと感じるようになると、社会は子供を持つ人や持とうとする人にとって生きづらい環境になり、少子化はさらに加速していくのだ。今後の日本では、現代人が想像できないようなハイペースで少子化が進行していく可能性がある。

 今日はクリスマスで、子供のいる家庭の多くにはサンタクロースがやって来たに違いない。サンタクロースのルーツはミュラ(現在のトルコ南西部にある町)の司祭だった聖ニコラオで、子供たちの守護聖人として知られている。子供がいなくなる日本では、サンタクロースが活躍する機会も減ることだろう。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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