瞑想クイック・マニュアル

瞑想クイック・マニュアル

 これはタイトルに偽りありの本だ。タイトル全体は「人生の流れを変える瞑想クイック・マニュアル―心をピュアにするヴィパッサナー瞑想入門」なのだが、これも内容をまったく表していない。

 これは「瞑想を中心にした在家仏教の入門書」なのだ。全体は瞑想の効果や役割について論じた3〜5ページ程度の短いコラムの集まりで、それをヴィパッサナー瞑想やサティ(気づき)という言葉を軸にして解説していく。八正道や五戒、カルマ、輪廻といって仏教の基本用語をヴィパッサナー瞑想と関連づけ、仏教に不可欠なものとして瞑想を配置しているのがこの本の特徴。

 仏教の基本的な考えは「四諦」であり、具体的な実践法は「八正道」だ。八正道の中にある正念と正定は瞑想法のことで、その中でも正念はヴィパッサナー瞑想のこと。(正定はサマタ瞑想。)このヴィパッサナー瞑想だけを取り上げたのが、現在ブームになっているマインドフルネスだ。

 この本はヴィパッサナー瞑想を八正道の中からあえて独立させず、仏教修行の実践の中で語っているところがユニーク。しかしこれはマインドフルネスの解説書としてはユニークだということであって、「瞑想を中心にした在家仏教の入門書」としては当然のことだろう。

 本書の初版は2007年で、同じ著者の「ブッダの瞑想法」はその前年に出ている。今から10年前だ。マインドフルネスが大きなブームになっているのはここ数年のことなので(その前から知る人ぞ知る存在ではあったのだろうけれど)、この本はマインドフルネスの大ブームとはほとんど無関係に出ている。

 僕自身はこの本の仏教的な部分にあまり興味がわかなかったのだが、学問的な仏教入門書とはまったく別に、今この時を生きるブッダの教えとして瞑想に注目する姿勢には興味を持った。この本を読んだ後に、「ダンマパタ」や「スッタニパータ」を読み直すと、以前とは別の発見があるように思う。

 なお本書のタイトルになっている「瞑想クイック・マニュアル」的な部分は、巻末にほんの10ペーシほどの簡単な解説がある。このタイトルならまずこのクイック・マニュアルを巻頭に置いて、その後に各コラムを配置した方がわかりやすかったかもしれない。もっともこれは、「ブッダの瞑想法」を先に読んでおけということなのかもしれないけれど……。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 読書

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