今年の流行語と社会の分断

新語・流行語大賞

 今年の流行語大賞は「神ってる」に決定だそうだトップ10に入った他の候補が、「ゲス不倫」「聖地巡礼」「トランプ現象」「PPAP」「保育園落ちた日本死ね」「(僕の)アモーレ」「ポケモンGO」「マイナス金利」「盛り土」だというから、それに比べれば「神ってる」の方がましなのかもしれない。固有名詞ではないので使う機会があるかもしれないし、あまりネガティブなものでもないしね……。

 しかし「神ってる」が流行語かと言われると、それってどうなんだろうか。確かに多少話題にはなったけど、少なくとも僕の周囲でこの言葉を使っている人はまったく見なかったし、ネットでも広島優勝後にこの言葉を頻繁に見かけるようになったということはない。要するにこれは流行している言葉ではないのだ。

 他の候補を見てもそうだが、これは結局「今年話題になった言葉」ぐらいの意味であって、これらの言葉が人口に膾炙していたとは思えないし、今後日本語の中に定着していくとも思えない。それとも僕のまったく知らないところで、「神ってる」はものすごく使われてたんでしょうかね?

 今年のトップ10の中で個人的に気になった言葉は、「トランプ現象」「保育園落ちた日本死ね」「盛り土」あたりだった。建築の世界では「盛り土」を「もりツチ」ではなく「もりド」と読むことを、日本中の人がこのことで初めて知ったのではないだろうか。

 他のふたつ、「トランプ現象」と「保育園落ちた日本死ね」については、どちらも社会の分断を象徴する言葉だったと思う。

 「トランプ現象」は「トランプ旋風」ではないところがミソだ。これはドナルド・トランプという個人の問題ではなく、それによって引き起こされたアメリカの社会現象だった。トランプの歯に衣着せぬ正直な物言いは、アメリカ社会で暗黙の了解事項になっていたポリティカル・コレクトネスを吹き飛ばしてしまった。差別はよくないとか、社会的な弱者に配慮しなければならないといった、アメリカが何十年もかけて作ってきた規範は、トランプの登場であっという間に溶けて消えてしまったのだ。

 大統領選を引っかき回して、あげくの果てに次期アメリカ大統領になってしまったトランプは、アメリカ社会を分断してしまった。それが「トランプ現象」なのだ。来年の就任以降、トランプがアメリカをどこに導くかはわからない。だが分断の傷は、当分残り続けるに違いない。

 一方「保育園落ちた日本死ね」も、日本社会に根強く残るミソジニー(女性蔑視や女性嫌悪)体質を暴き出した。その後に日本各地の議会で起きた女性議員に対する口汚いヤジなども含めて、日本社会の中にある分断を白日の下にさらしてしまったのではないだろうか。

 ベスト30の中にあって大賞どころかベスト10からすら漏れてしまったのだが、「民泊」がなぜこぼれてしまったのかは謎だ。特にネガティブな言葉でもないし、今年は十分話題になり、今後も使われ続けて行く言葉だと思うけどな。「歩きスマホ」も現代風俗をあらわした言葉だし、「AI」も今年ならではの言葉だと思う。

 新語・流行語大賞の候補には「今年の10大ニュース」の見出しみたいな言葉もたくさん入っていて、これが何をどんな基準で選ぼうとしているのかよくわからないんだけどね。まあこうした感想を持ってしまうのも、ある種の分断なのかなぁ……。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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