サーチ・インサイド・ユアセルフ ― 仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法

サーチ・インサイド・ユアセルフ

 Amazonの購入履歴では注文したのが7月2日。読み終えるまで4ヶ月以上。久しぶりに、ずいぶん時間のかかる読書をしてしまったと思う。(もちろん、その間にも他の本をいろいろと読んでいるわけだけれど……。)

 本書はGoogleで行われているSIY(サーチ・インサイド・ユアセルフ/己の内を探れ)という講習の紹介で、Googleにおけるマインドフルネス実践マニュアルみたいなものだ。マインドフルネスの理論、歴史などと共に、具体的な訓練方法、応用法などが、事細かに紹介してある。数人の仲間がいれば、この本を手引きにして実際にマインドフルネスの練習を行うことが可能だろう。

 そう、これは「仲間を必要とするマインドフルネス」の実践本なのだ。マインドフルネスは仏教の瞑想法にルーツを持つもので、もともと瞑想は自分ひとりでするものだ。だから「仲間を必要とする」というのは瞑想の手法とは矛盾しているようにも感じてしまう。でも問題ない。この本の中心にあるのは、「マインドフルネスを実生活でどう生かしていくか」だからだ。

 マインドフルネスで自分のストレスがなくなった。集中力が付くようになった。それはそれで結構なことだろう。この本にも、最初にそうした瞑想法が書かれている。でも人間の悩みのほとんどは対人関係なのだから、周囲との関係が変化しない限りまた新たな問題が次々に発生する。これを改善するのに、マインドフルネスはどう役に立つのだろうか? 周囲の誰かと衝突したら、そこで自室に引っ込んでマインドフルネス瞑想をすればいいのか?

 この本の中で紹介されているのは、マインドフルネスによってもたらされる「気づき」や「洞察」を、対人関係の中で生かしていく方法だ。また対人関係の起点となる自分自身の意識を、どのように掘り下げていくかというハウツーだ。マインドフルネス瞑想の技術を応用して、それを対人関係の中で発展的に生かしていく。それによって互いの信頼関係を構築できれば、ビジネスの場でも、夫婦や親子の生活でも、友人関係でも、よりよい関係性が築かれていくという。

 著者がもともとコンピュータ・エンジニアであるせいか、本書の内容は大変に理屈っぽい。しかし「マインドフルなんて本当に役に立つのかな?」と懐疑的な人にとって、この理屈っぽさは本書に対する信頼感につながると思う。

 著者は瞑想を「宗教的な神秘体験」から解き放って、「科学」として語れるものにしたいのだという。かつて医学は「呪術師のまじない」と大差のないものだったが、それが「科学」の場で語られるようになって大発展した。著者は瞑想もまた、医学と同じ道をたどるべきだと言う。

 体の健康のために運動をするように、心の健康や人間関係のスキルアップのために瞑想をする習慣があってもいいはずだという著者の夢は「世界平和」だというから気宇壮大だ。でも人々がお腹の贅肉を気にして腹筋運動に精を出すのと同じぐらいの熱心さで瞑想に取り組むようになれば、社会のありようはがらりと変化するかもしれない。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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