女性の社会進出が少子化の原因なのか?

親子・室内38

 ハフィントン・ポストに「女性の社会進出は社会全体を豊かにしない」と異論噴出 自民党内の男女共同参画法案会議でという記事があり、その中に「女性の社会進出が少子化を加速させている」という記述があったので、そのことについてちょっと考えてみた。

 女性の社会進出と少子化には何らかの相関関係がありそうなのだが、それは一般的に言われているように「女性の社会進出→少子化」という因果関係なのだろうか。これは逆に「少子化→女性の社会進出」と考えることも可能かもしれないし、両者の間にはじつは何の関係もなく、まったく別の原因によって起きたふたつの現象なのかもしれない。

 とりあえず「少子化→女性の社会進出」という関係でも考えられそうだという根拠を、Twitterに連続投稿したのでTogetterでまとめてみた。ただしこれは単なるアイデアであって、何らかの根拠に裏付けられてのものではない。それでも「女性の社会進出が少子化の原因だ」という、世間で広く信じられているであろう因果関係に疑問符を付ける程度の意味はあると思う。

 僕が「少子化→女性の社会進出」ではないかと考えた理由は、日本の少子化は女性の社会進出が本格化するよりずっと早くから始まっているという単純な事実を感覚的に知っていたからだ。「昔の日本は子沢山だった」というのは、じつは錯覚なのだ。

 戦後すぐのベビーブーム世代(団塊の世代とその後数年)は、確かに日本中が出産ラッシュだった。団塊の世代は昭和22年から24年に生まれた人たちのことだが、この3年間の合計特殊出生率は、4.54、4.4、4.32で、軒並み4人を大きく超えている。昭和20年代から映画『ALWAYS 三丁目の夕日』の舞台となる昭和30年代前半ぐらいまでは、日本中どこを向いても子供だらけだった。そして高度経済成長が始まってサラリーマンが増え、サラリーマンの家庭も専業主婦が多くなる。

 しかしその昭和30年代に、合計特殊出生率はもう大きく下がっている。昭和32年の合計特殊出生率は2.04。既に人口維持可能な2.07から2.08という水準を下回っている。この頃、日本はもう「少子化」の兆しがあったのだ。出生率は昭和40年代に少し回復するが、昭和50年には1.91となり、この後はずっと2を下回る水準でじりじりと下がっていく。

 日本の少子化スタートが昭和32年、つまり1957年だとすると、日本の少子化はもう60年近く継続していることになる。安倍政権は「新・三本の矢」として、2030年には人口維持可能な2.08まで出生率を回復させると言っている。60年も少子化トレンドが続いているのに、それを10数年で逆転させることができるとは思えないんだけどな……。と、これはまた別の話だ。

 再確認しておくと、日本の少子化スタートは昭和30年代で、昭和40年代は小康状態、人口減少が確定的になったのは昭和50年代だ。では「少子化の原因」とされる女性の社会進出は、いったいいつから始まっているのだろうか?

 男女雇用機会均等法は1985年(昭和60年)に制定され、翌86年から施行されている。僕が会社勤めを始めたのは1987年(昭和62年)で、男女雇用機会均等法が施行された直後だった。でもその頃は女性の結婚退社は当たり前で、そのことについて社会は何の疑問も持っていなかった。つまりこの時点では、「女性の社会進出が進んでいる」とはとても言えない状態だったのだ。

 それでも結婚した後も働き続ける女性の数はどんどん増えて、1997年(平成9年)には「共働き世帯」と「片働き家庭」の比率が完全に逆転する。「女性の社会進出が増えたなぁ」と実感されるようになったのは、やはりこの頃になってからなのではないだろうか。

 というわけで、日本では順序として「少子化」が先行して、それから数十年たってから「女性の社会進出」が本格化している。仮に昭和50年を本格的な少子化元年とし、男女雇用機会均等法が施行された昭和61年が女性の社会進出元年だとしても、女性の社会進出は10年以上後の話ではないか。

 なのになぜ「女性の社会進出」が、「少子化の原因」という言い方をされてしまうのだろう。それはまったく順序が逆だと思うけどな。

 Twitterの連続投稿で僕は「少子化こそが女性の社会進出を促した」という話をしている。ただしこれを客観的に論証するには、もう少しいろいろなデータが必要だろう。現時点ではまだ思いつきレベルだ。ただひとつ確実に言えるのは、日本では女性の社会進出が少子化を生み出しているわけではないということだ。少子化の方が先に起きて、女性の社会進出はその後に本格化している。

 それを無視して「女性の社会進出が少子化を生んだ」とか「女性が家庭に戻れば子供は増える」などと非科学的なことを言う人たちは、よほどのバカか、単なる無知か、他に何か良からぬ魂胆があってこんなことを言っているのだと思う。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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