第29回 東京国際映画祭(後編)

東京国際映画祭のプレスキット

 今回は東京国際映画祭に2日間しか行かなかったので、前日分を前編として、今回は2日目の後編です。

 築地のカプセルホテルで朝食を取り、10時前にチェックアウトしてから歩いて有楽町へ。有楽町のビックカメラで文具コーナーを少し見たが、これといって欲しいものが見つからなかったので日比谷線の日比谷駅から六本木へ移動。

 1本目はコンペ作品『浮き草たち』。警察に捕まった兄から「運び屋」の仕事を依頼されたポーランド系移民の青年が、とんでもない失敗をやらかして、一緒にいた若い女性運転手と一緒にドツボにはまっていく。ストーリー自体は「犯罪スリラー」の枠組みになっているが、主人公たちのテンポのいい会話が気持ちいいラブコメディだ。これは作り手のミスリードが冴えているので、あまり内容について語るとネタバレになってしまいそう。主人公を演じた若い俳優たちがじつに良い。

 昼食は六本木のインドレストランMOTI(モティ)で、3種のカレーランチ(1,350円也)。ここは今からかれこれ30年近く前、僕が生まれてはじめてナンを食べたお店だと思う。その前にも銀座のインドレストランに行ったことがあると思うけど、ナンを食べた記憶はない。銀座のインド料理というとムルギレストランだけど、あそこも名物のムルギランチ(チキンカレーのセット)はご飯だよね。MOTIの内装は30年前とはだいぶ変わってましたが、カレーは美味かったです。

 会場に戻って『アズミ・ハルコは行方不明』がこの日の2本目。現在の日本で「女性として生きる息苦しさ」をリアルに描きつつ、そこを軽々と越境していく痛快なファンタジー。地方都市を舞台にしているが、ここに描かれているのは現代の日本が抱えているミソジニー(女性蔑視)体質と、その裏側にあるホモソーシャルな社会のあり方そのものだ。映画の構成がちょっとわかりにくいのだが、このぐらいストーリー展開のピッチを上げておかないと、重苦しくて観るに耐えない映画になってしまったかも。

 夕食を食べる間もなく3本目の『サーミ・ブラッド』に突入。スウェーデンで数十年前まで行われていた先住民族サーミ人(ラップ人)に対する差別と欺瞞的な同化政策、そこから脱出するためサーミ人としての過去を捨てようとしたひとりの少女の生き方を描いたドラマ作品だ。これは王子さまに恋して自分の生まれた世界を捨てる、現代版「人魚姫」の物語なのだ。ディズニーの翻案版『リトル・マーメイド』で人魚姫は王子と結ばれて幸せになるが、『サーミ・ブラッド』の結末はアンデルセンの原作に近いかもしれない。人魚姫は人間の世界で声を失い、王子さまと結ばれることもないまま、最後は泡になって消えてしまう。サーミ人の少女は、自分の世界を捨てたことで何を得たのだろうか?

 4本目はインドネシア映画『フィクション。』。これは強烈なサイコ・サスペンス映画だった。映像がひどいのだが(1970年代頃の映画かと思ったらなんと2008年作品なのだ)、物語の構成と展開がすごくてビックリさせられた。たぶん日本で一般公開することはないと思うが、一見の価値ありだ。映画祭は突然こういう映画に出会ったりするから面白い。

 東京駅に移動してバスの時間待ち。予約したバスの時間が遅かったので、1時間半ほど時間が空いてしまった。夜の10時頃になると東京駅の地下街もほとんど飲食店が閉まってしまうが、ラーメン屋さんがまだ開いていたのでとりあえずそれで今日最後の食事を済ませる。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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