さよなら、ストレス 誰にでもできる最新「ご機嫌」メソッド

さよなら、ストレス 誰にでもできる最新「ご機嫌」メソッド

 著者の主催するワークショップを受講した僕にとって、著者は「先生」でもあるので、以下はそのように書くことにします。

 辻先生にはたくさんの著書がありますが、毎回特定のキーワードを切り口にして、先生が作り上げた「辻メソッド」の考え方や方法を紹介しています。今回の本のキーワードは「ストレス」です。

 日本で一般にストレスと呼ばれる言葉は、外界からの刺激によって人間の心に生み出される本来の意味でのストレスと、ストレスを生み出す原因となる外的な刺激(ストレッサー)とが混同されています。この本で「さよなら」の対象になっているのは、外部に存在するストレッサーではなく、人間の心の中に生み出されるストレスの側です。

 人間は外界からの刺激に対して、その意味や原因を考えて対処する能力に優れています。これが他の動物にはない人間の能力であり、人間はこの特殊な認知能力によって高度な文明を築いてきたわけです。しかし「出来事の意味や原因を考える」という高度な能力が時々暴走して、人間の心の中にストレスを生み出します。人間が認知能力を捨てることはできません。しかし自分自身の意志で自分の心に働きかけることで、こうした認知の暴走を食い止めたり、中和してバランスを取ることは可能です。これを辻メソッドでは「ライフスキル」と呼びます。

 ライフスキルの基本は「気づき」と「考えること」です。例えばその第一歩として、自分自身の心の状態に気づくことです。自分が認知の暴走に巻き込まれていると気づくだけで、その暴走には一定の歯止めがかかります。認知の暴走に捕らえられている脳の働きを別の方向に向ければ、暴走状態から抜け出すことも可能です。そのためのテクニックも、ライフスキルの中に含まれています。

 辻先生のワークショップでは30数個のライフスキルを実践的に学んでいくのですが、この本ではそれが20個に整理されています。これらの方法に間違いなく効果があることは、ワークショップを受講し、そこで学んだことを日々の生活で実践している人にはリアルな体験としてわかります。でも本を読むだけでは、ちょっとわかりにくいかもしれません。

 これは食べ物の味について説明するのに似ています。味わいを言葉で説明したとしても、それを食べたことがない人には味を本当に理解させることはできません。辻メソッドで言う「ゆらがず・とらわれず」の「フロー」な状態は、それを意識して味わったことがあればすぐわかりますが、意識したことがない人にどのぐらい伝わるものでしょうか?

 辻メソッドは簡単でしかも間違いなく効果が出るので、もっと広まってほしいと思っています。これが十分に広がれば、学校や職場でのいじめも、ブラック企業での自殺も、日本から一掃されるかもしれません。それは辻先生本人の望むところでもあるでしょう。でも今回の本が、そのためにどのくらいの助けになるかどうかはよくわかりません。理論と実践をバランスよく記述した、自学自習向けのワークブックのようなものがあるといいのかもしれません。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 読書

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