18歳からの民主主義

18歳からの民主主義

 『2016年夏の選挙から、選挙権の年齢が「18歳以上」に引き下げられます』と本書の「はじめに」にある。本書は7月10日の参院選をターゲットに、この日はじめて国政選挙に投票する18歳の有権者たちに向けたメッセージとして出版されたものだ。

 全体は3部構成。第1部の「民主主義のキホン」では、議会制民主主義の仕組みについて解説。第2部の「選挙。ここがポイント!」では、現在の日本が抱えている政治課題を紹介して解説。第3部の「立ち上がる民主主義!」では、18歳という年齢や投票権にまつわるエッセイが収められている。執筆者は37名。内容も文章のタッチもバラバラだが、これだけの著者を新書1冊のために集められるのは、さすが岩波書店……といったところだろうか。

 しかしこの本の発行は2016年4月20日。なぜこの時期なんだろうか。18歳選挙権の導入は2015年6月には決まっているし、それ以前に国会で議論されていたものだ。新書という体裁で出版するなら、もう少し早くに企画し、出版しても良かったはずだ。この本の内容は、7月10日の選挙が終わればあっという間に古びてしまう。岩波新書にはロングセラーとして長く販売される古典もたくさんあるが、この本は最初から古典になることを拒否している。4月に出して、7月初旬まで売り切って、それでおしまいなのだ。

 文庫や新書については出版点数が増え、書店ではほとんど「雑誌感覚」だ販売されている。岩波書店もその流れに乗って、こんな本を作ってしまう時代になったというわけか。(なおカバーは二重になっていて、カラフルなカバーの下には通常の岩波新書と同じデザインのカバーが隠れている。)

 内容的には第1部と第2部は解説としてよくまとまっているし、第3部もエッセイ集として面白く読むことができる。でも、やっぱりこの本は7月10日までの命だろう。生鮮食品のようにアシの早い本だと思う。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 読書

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