軽いノリじゃダメですか?

国に届け

 高校3年生の安田アスカは、クラスメイトの浅倉に淡い恋心を抱いている。でも浅倉は成績優秀なイケメンの生徒会長で、母親は地元で議員をしているという校内エリートだ。それに対してアスカは、成績も芳しくないし遅刻常習者と来ている。まるで住む世界が違うのだ。その日も遅刻をしたアスカは、放課後に職員室で絞られてぐったり。でもその帰り道、アスカは憧れの浅倉が親友で同じクラスの佐藤と帰るところに出くわした。ふたりは何やら難しい話をしている。人口問題、参議院選挙……。でもこれは、浅倉と親しくなれるチャンスかもしれない。翌日アスカは勇気を出して浅倉と佐藤に話しかける。「さんいんナントカって私も行けるの!?」 途方もない無知をさらけ出して、アスカは浅倉にあきれられてしまった。それでもめげないのがアスカは、浅倉と佐藤が参院選の投票に行く際、自分も一緒に行きたいと言い出す。無事OKをもらって、アスカは大喜びだった。

 投票日当日。精一杯オシャレして待ち合わせ場所に出かけたアスカは、はじめて見る私服姿の浅倉にちょっと惚れ惚れ。「誰に投票するか決めたのかよ。テキトーに」と上から目線でアスカに話しかける浅倉だが、アスカは「テキトーじゃないよ!」と反論する。アスカはスマホを使って、前夜のうちに候補者の理念や志を調べていたのだ。これには浅倉も佐藤もちょっと意外そうな顔だった。無事に人生初めての投票を終えた翌朝のニュースで、アスカは自分の投票した候補者が当選したことを知った。開票がすべて終わるまで結果のわからない接戦を制したのだ。万歳三唱の中で嬉し泣きしている候補者を見て、アスカは自分の投じた1票が実際に候補者の当落に直結していることを実感してちょっと嬉しくなった。学校に行って佐藤に話しかけると、なんと彼も同じ候補者に投票していたという。だが別の候補に投票した浅倉は不満げだ。浅倉の投票した候補者は落選したらしい。

 「あんな候補に投票したのかよ」と、浅倉はいつになくとげとげしい言い方だ。浅倉が言うには、自分たちの代表となる国会議員を選ぶには、日頃からその候補者が書いた本を読んだり、集会に出席するべきだと言うのだ。浅倉は議員をしている母親のつながりで、落選議員を励ます会に出るという。佐藤とアスカも誘われたが、アスカは家の用事があってどうしても行くことができなかった。だがその集会の翌日、佐藤が珍しく真剣な顔つきでアスカに話しかけてきた。「集会に行ったけど、ちょっと様子が変だったんだ。集会の最初に国旗にお辞儀をして、みんなで君が代を歌って……」「そのぐらい学校の集会でもやるでしょ?」「でもそのあと、出席者がへんな呪文みたいなものを唱えはじめたんだ。みんなそれを暗記してるんだ。浅倉もだよ。家に帰って調べたら、それは教育勅語だって……」「キョーイクチョクゴ?」。

 はたして、アスカの恋はどこに向かうのだろうか?

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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