慰安婦問題に決着はあり得ない

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写真:産経ニュース

 日本の岸田外相と韓国の尹炳世(ユンビョンセ)外相が28日に韓国で会談し、慰安婦問題で最終的な合意決着をさせる意向だとの報道。日韓関係はこの問題でこじれにこじれているのだが、はたして決着なんてするんだろうか? するわけないと僕は思うのだが……。

 日本としてはこの問題にケリをつけて、この話題を両国間の政治課題から外してしまいたいのだろう。日本は新たな基金を作る方針だそうだが、基金方式での元慰安婦支援は20年前に「女性のためのアジア平和国民基金」が作られている。(8年前に解散。)しかしこのアジア女性基金では、少なくとも日韓の間でこの問題の解決にならなかった。

 こうした基金は日本が勝手に作って「こうします」というわけにはいかず、立ち上げ当初は韓国政府もこれを歓迎していたはずなのだ。でも「これでは償いにならない」という韓国内の世論に押され、アジア女性基金は機能不全に陥ってしまった。

 韓国は政府が「こうだ」と決めても、世論が納得しなければ政府が決定を覆してしまうという印象がある。そもそも日韓の戦後賠償問題は国交成立時にすべて解決済みのはずだが、韓国政府はそれを曖昧にして国民の「日本に賠償を求めろ」という声を放置している。

 地続きで北朝鮮や中国と接している韓国は、外交的には日本との友好的な協力関係が必要なはずだ。韓国政府だってそのぐらいのことはわかっていて、日本との関係は改善するに越したことはないと思っているだろう。でも韓国政府がいくら「こうしたい」「こうします」と言ったところで、韓国世論がそれに同意しなければ何度でも同じ問題は蒸し返される。それは過去の経緯を見てもわかりきったことだ。

 だから日本がいくら譲歩して韓国との合意に達しても、この問題は今後何度でも蒸し返される。民間団体が設置した在韓日本大使館前の慰安婦像は撤去されないだろうし(そもそも民間団体が設置した像を韓国政府が撤去できる筋合いがない)、アメリカの韓国系団体がアメリカ各地に設置する慰安婦像についても撤去させるのは難しい。

 というわけで僕は、そもそもこの問題について両国間での合意はまずあり得ないし、仮に何らかの合意が作られても、韓国世論の強まりですぐ反故にされると思っている。この問題の解決を目指す日韓の外相会談は、何の決着も得られないまま終わるに決まっているのだ。

 しかし会談そのものが無駄だとは思わない。こうした会談の席を作ることで、「日本政府はこの問題について気にかけている」という国際社会へのアピールになる。日本の態度次第では「日本は誠実に韓国に向き合おうとしているのに、韓国が聞く耳持たないので問題が解決しない」という印象を生み出すこともできるはずだ。

 明確な決着の付かない試合は、判定勝負になる。ジャッジするのは第三者だ。だから今回の会談についても、日本は誠心誠意相手国の立場を考えているというポーズを作ることは大事になる。

 まあしかし同じことは相手も考えているわけで、これは互いに結論が出ないことがわかっていながらセッティングされた外交的アピールの場なのだ。日本の外相にはがんばって欲しい。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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