生産年齢人口の推計

生産年齢人口の推移

 昨日の記事では日本の総人口が減っていくことを書いたのだが、今回はその続きとして生産年齢人口の推移のグラフを作ってみた。生産年齢人口というのは、社会の中で働き手に成り得る15歳以上65歳未満の人口のこと。最近は労働力不足や年金不足を補うため、70歳や75歳まで働いてもらおうという話も出ているが、これはグラフの目盛りが5年分か10年分後ろにずれるだけで、全体の傾向が劇的に変化することはない。

 (グラフのもととなる数値は、国立社会保障・人口問題研究所のデータを利用している。現時点では平成24年1月の推計値が最新なのだが、生産年齢人口は15歳以上のデータなので、この時点からのブレはさほどないはずだ。)

 グラフには入れていないが、生産年齢人口のピークは1995年の8,717万人だった。2010年には8千万人台だった生産年齢人口は既にその大台を割り込み、2015年には大きな減少期に入っている。あとは右肩下がりにどんどん減っていくばかり。2050年には5千万人前後まで減り、2060年にはピーク時の半分まで減ってしまう。

 2060年は遠い未来ではない。今からたった45年後だ。生産年齢人口がピークだった1995年に生まれた人は、今年二十歳の成人式を迎えたはず。大学生なら2年後には就職するわけだが、65歳まで働くとすれば、定年を迎えるのがちょうど2060年。この間に、日本の生産年齢人口が半減するわけだ。

 生産年齢人口の中には、高校生も入っていれば、家庭で家事をしている専業主婦も入っている。こうした人たちが何らかの形で労働市場に出て行けば、生産年齢人口の推移グラフよりは、実際の就労者の減少が抑えられる可能性もある。だが大学進学が当たり前の世の中で「中卒で働きます」という人が増えるとは思えないし、女性も学校を卒業して一度はどこかに就職しているのだから、その就業率が伸びるとしてもたかがしれている。実際の就業者数も、生産年齢人口の減少に沿って減っていくより他にないのだ。

 人工知能やロボット技術の発達で人口減少による労働者不足がカバーできるという話もあるが、人工知能やロボットは「税金」も「年金保険料」も払ってくれない。仮に労働力不足が人工知能やロボットに置き換えられると楽観的に考えたとしても、現在の徴税や社会保障の仕組みは遠からず維持できなくなるだろう。

 僕は人工知能やロボット開発について、それほど楽観的な見通しを持っていない。人工知能はともかく、ロボットは「機械工学」の話になる。これは素材や動力などハードウェアの進歩が必要な分野で、コンピュータの能力が100倍になったとしても機械技術がいきなり100倍に進化することはあり得ない。家庭の中に汎用の家事ロボットが入ってくる「鉄腕アトム」のような時代は、まだだいぶ先になると思う。

 労働力不足は人工知能やロボットで一部はカバーできるだろう。例えば自動運転車など用途が限定されたロボットの普及で、20年後にはタクシー運転手やバスの運転手はいなくなるかもしれない。電車の運転手はそれよりも早く消えそうだ。(既に一部の鉄道では無人運転が行われている。)しかし世の中のありとあらゆる職種で起きる労働力不足が、すべて人工知能やロボットに置き換わるとは思えない。

 医療、介護、保育、教育、警察、消防、国防などの分野でも、深刻な人手不足が起きるだろう。もちろん人工知能やロボットも入って行くはずだが、すべてが置き換わるとは到底思えない。にっちもさっちも行かなくなれば、これらの分野に関して「限定的に移民労働者を入れよう」とか、「国民すべてに一定期間のボランティア就業を義務づけよう」という話になるのではないだろうか。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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