夫婦別姓判決についての各紙の社説

社説

 12月17日(木)の全国主要5紙の社説。要点になりそうな部分だけ引用し、自分なりにちょっとした感想を述べておきます。(新聞の発行部数の順番に並んでます。)

読売新聞:夫婦同姓合憲 司法判断と制度の是非は別だ
 何を言っているのかよくわからない社説。合憲判断を歓迎したのは保守系メディアとして予想通りだけれど、部数の多い新聞なのでそれ以外の意見にも多少は配慮しなきゃならない。だから論調は総花的で八方美人になる。

 日本社会に定着している夫婦同姓は合理的だ。そう結論づけた最高裁の判断は妥当である。(中略)
 大法廷が重視したのは、夫婦がどちらの姓を称するかについて、民法が夫婦間の協議に委ねている点だ。「男女間の形式的不平等は存在しない」と認定した。
 夫婦が同じ姓を名乗るのは、同一の家族であることを示す意味合いがあるとも指摘した。いずれも、うなずける見解である。

 この社説は見出しで「司法判断と制度の是非は別だ」と述べ、本文の中でも「最高裁の合憲判断と制度変更の是非とは、必ずしも論点が一致しない」などと言っているのだが、それが具体的にどんなことを差しているのかがよくわからない。

 この問題については、「社会の中で旧姓使用を認める範囲をより広げ、女性が働きやすい環境を整えるべき」と結論づけているようだが、それが法律の整備なども含めたものであるべきなのかには踏み込まないのだ。最初に判決に対して「妥当だ!」「うなずける!」などと断言して見せた割には、なんだかよくわからないまとめ方だと思う。

朝日新聞:「夫婦同姓」の最高裁判決 時代に合った民法を
 「朝日新聞ならこういう社説を書くであろう」という、徹底的に朝日新聞らしい社説。

 国際社会の見る目は厳しい。日本政府は85年に国連の女性差別撤廃条約を批准したが、国連女性差別撤廃委員会から改正するよう勧告を受けてきた。
 海外では、夫婦同姓を法律で義務づけている国はほとんどない。タイではかつて「結婚した女性は夫の姓を使う」と法律で定めていたが、憲法裁判所の違憲判断を機に05年に選択的夫婦別姓が導入されている。
 国際的な流れをみても法改正に向けた議論を始めるときだ。

 「この判決は時代に逆行する判断と言わざるを得ない」と断じ、明確に法改正を求めている点で朝日新聞の社説は「社論」として明確なものになっている。しかし「海外ではこうなっているのが常識」と海外事情を引き合いに出し、外圧を利用して国内問題の解決を図ろうとするロジックは、いかにも朝日新聞のセンスだと苦笑するしかない。

 このロジックだと、憲法改正についても「国際的な流れをみても法改正に向けた議論を」と言えてしまうと思うんだけど、それって護憲派の朝日新聞としてはヤブヘビなんじゃないだろうか。都合のいいときだけ海外の常識を持ち出し、都合が悪くなると日本独自の理屈に逃げ込むダブルスタンダードはよろしくないと思うんだけどな……。

毎日新聞:夫婦同姓は合憲 国会は見直しの議論を
 問題を多角的にとらえていて、バランスが取れている社説だと思います。

 家族のあり方は、国民生活の基礎になる。国会は国民の声も聞きながら、本腰を入れて法律の見直しの検討を始めるべきだ。

 毎日新聞も法改正を主張している。朝日ほどには「外圧」に頼っていないのが好印象。

日本経済新聞:「夫婦別姓」の議論に終止符を打つな
 日経は経済紙なのでこの問題を取り上げる必要もないと思うのだが、社説の内容は結構踏み込んだものになってました。

 最高裁判決は姓を巡る制度について「国会で論ぜられ判断されるべき事柄だ」と述べた。選択的夫婦別姓に「合理性がないと断ずるものではない」ともしている。議論に終止符を打ってはならない。

 本文中では「制度と現状のはざまで悩む人をそのままにしていいのだろうか」とも述べているのが日経の社説。結論部分では「国会で論ぜられ」という判決文と並べて「議論に終止符を打ってはならない」と述べているので、これは法改正を視野に入れて国会でも議論しろという意味だろう。

産経新聞:夫婦同姓「合憲」という最高裁判断は妥当 家族の意義と「絆」守った
 朝日新聞の社説と同様、読む前から「産経新聞ならこういう社説を書くであろう」という予想をまったく裏切らない内容だ。

 現行制度は、日本の伝統的な家族観に沿うもので社会に広く受け入れられている。夫婦が責任を共有して子供を育てていく家族の一体感につながる。それを崩す必要はない。最高裁の判断は妥当である。

 最高裁が通称としての旧姓使用に言及したことを受けて、「旧姓が通称使用できる企業は増えているが、職場によっては認められないなど使いづらい環境もある。働きやすい職場づくりについて知恵を絞ることは重要だ。」とも書いているのだが、全体の論調を見る限りでは「だから法律議論をしろ」というものではないですね……。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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