夫婦別姓問題について

 現在の民法で「夫婦は同姓」とされていることが違憲かどうかで争われていた裁判について、最高裁が「違憲とは言えない」という判断を下した。

 「名字が改められることで、アイデンティティが失われるという見方もあるが、旧姓の通称使用で緩和されており、憲法に違反しない」というのが裁判長の見解。そりゃ私的な領域においてはどんな名前を名乗るのも自由だけど、社会の中では通称使用が許されない場面もたくさんある。

 例えばパスポートや免許証は旧姓で取得できない。銀行口座の新設もできない。携帯電話の契約も旧姓では不可能。健康保険も旧姓では無理。身分証明書の提示が求められる商用サービスや公共サービス、例えばビデオ屋の会員証、図書館の利用証など、すべて旧姓での利用は認められないと思う。

 (旧姓でもOKなのは税金の支払い。税務署は名前がどうであれ、実体としてその個人に納税の事実があればそれを認めるのです。実利的というか、現実的というか……。でも税務署にできることなら、他の役所だって全部同じことができるはずだよね。)

 マイナンバーで「国民総背番号」が事実上実現されたのだから、「戸籍以外はすべて通称使用が可能」になるように法律を整備すべきだろう。国会議員も、結婚後に旧姓のまま仕事をしている人は多いはず。国会で活動しているのと同じ名前で、免許やパスポートを取得したり、携帯電話の契約をしたりできるなら、その方がずっと便利なんじゃないの?

 僕自身は選択的夫婦別姓に賛成の立場なので、この問題について最高裁がきっぱりと決断を下してくれなかったことに対しては残念な気持ちもある。しかし最高裁の裁判官15人のうち3分の1にあたる5人がこの判断に反対意見を述べ、女性裁判官3人は全員が反対に回ったというあたりは、この問題が「現在進行形」の事柄であることを感じさせるものだった。

 この問題は、これが最終決着ではない。今回の判決は、「とりあえず現時点では違憲とまでは言えない」ということだった。しかし数年後には、この判断がひっくり返るかもしれない。そうするためには、この問題についてさらに社会の中で議論していく必要があると思う。

 まずは最高裁が求めている「通称使用の緩和」について、政府が積極的な姿勢をみせることだ。日常生活のあらゆる場面で旧姓が通称として使えるようにするには、やはり法的な裏付けが必要になるだろう。企業の中で旧姓が使える職場は既に半数以上あるそうだが、給与の振り込みや、健康保険、何らかの国家資格が必要な職業での免許証の名義などは「戸籍名」になっているはず。

 企業内で戸籍名と通称との二刀流になるのは、企業側の事務手続きも面倒になる。一番いいのは「戸籍だけは夫婦同姓だが、その他の日常生活のすべてで別姓を使用することができる」ということだ。

 まあそこまで行ってしまうと、「なんで戸籍だけ同姓にしておく必要があるの?」ということになると思うけどね。でも「選択的夫婦別姓」に進んでいく道は、そうした回りくどい道のりになるような気がするな……。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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