1920年代の二原色テクニカラー

king of kings

 先日セシル・B・デミルの『キング・オブ・キングス』(1927)をDVDで久しぶりに観たのだが、キリスト復活のシーンがモノクロで「あれれ?」と思ってしまった。ずいぶん以前にビデオで観たときは、同じ場面がカラーだったような気がしたからだ。

 この映画は冒頭にあるマグダラのマリア登場のシークエンスと、イエス・キリストが墓から復活するシーンだけがカラーになっているのだが、日本でこのソフトを発売しているDVDメーカーは、モノクロのマスターしか手に入れられなかったのだろう。アメリカではクライテリオンからカラー版のマスターを使ったソフトも出ているようだが、日本のメーカーはそれとは別のマスターを利用したのだろう。

 1920年代のカラー映画は二原色テクニカラーというもので、画面が赤と緑の色に引っ張られる傾向がある。この技術は1920年代半ばには当時の大作映画で盛んに使われるようになっていて、デミル監督は『十誡』(1923)で一部カラーを使っているし、『ベン・ハー』(1925)にはより完成度が高い形でカラー映像が用いられている。

 ただしこの二原色テクニカラーは、赤いフィルターを通して撮影した映像で緑のプリントを作り、緑のフィルターを通して撮影した映像で赤のプリントを作って、2本のフィルムを接着剤で貼り合わせるものだった。カラー部分だけは映像を記録した感材面が二層になっているため、映写してもフォーカスが甘くなるのだ。

 今でもオリジナルのネガが残っていれば、それぞれをデジタル処理してピッタリと映像を重ね合わせることができるのだろう。しかし残念ながら多くの映画でオリジナルのネガは消失していて、『十誡』にせよ『ベン・ハー』にせよ『キング・オブ・キングス』にせよ、保存状態がいいカラープリントからカラーのマスターを作っているようだ。

 ただしこうした二原色テクニカラーのプリントは、プリントにコストがかかったためあまり多くのプリントは作られなかった。二原色カラープリントが作られていた当時も、おそらく大部分のプリントはモノクロ版だったのだ。日本で発売されている『キング・オブ・キングス』のDVDも、そうしたプリントをマスターにしているのだろう。

 二原色テクニカラーというのは、それほど不自然な発色になっているわけではない。もちろんこれは当時の撮影担当者が、不自然にならないような色彩設計をした結果だ。衣装、セット、照明などを工夫して、出来上がった映像が不自然にならないように作られている。立派なものです。


The King of Kings. 1927, USA, history, drama, silent movie from john rose on Vimeo.

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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