「希望出生率1.8」をいかにして実現するか

「希望出生率1.8」をいかにして実現するか

 安倍政権がアベノミクスの新・三本の矢として「希望出生率1.8の実現」を掲げていることについて、僕は絵に描いた餅で実現は不可能だと思っている。政府は一体、これをどう実現させるつもりなのか?

 先月18日に開催された第3回・一億総活躍社会に関する意見交換会の議事資料が、首相官邸のサイトで公開されている。ここで明治大学経済学部の加藤彰彦教授が意見を述べている内容がひどいと、ネットで話題になっている。

 この資料は3つの論点が柱になっている。

  1. 子供がない人が社会保障にただ乗りし、子供を生み育ててきた家庭に一方的な負担をかけているのは不公平である。

  2. 現在の日本でも夫婦が夫方の両親と同居する「伝統的家族」では希望する子供の数が多く、実際の出生率も明らかに高い。

  3. 地方在住の低学歴・低所得の若者こそが、出生率1.8実現の鍵を握っている。

 このうち3点目が特に大きな批判を浴びている。「事実としてこうなっています」と資料やデータをもとに論じている1点目と2点目に比べると、3点目はかなり論理に飛躍があるように感じる。

 だって少なくともこの資料に添付されているデータからは、「地方在住」も「低学歴」も「低所得」も導き出せる根拠がないでしょ?

 これは要するに、少し前に流行った「マイルドヤンキー論」の少子化対策版のように思える。

 マイルドヤンキーは地方に住んでます、家族を大切にします、親と同居しているか隣接して住んでます、早くに結婚して子供も多かったりします……。そんなステレオタイプのマイルドヤンキー像を重ね合わせると、この資料の結論とピッタリと一致するのだ。

 マイルドヤンキー論は広告代理店のマーケティング戦略の中から出てきた概念で、「これからは都市部の若者の流行発信能力に期待せず、むしろ購買力の強い地方の若者をターゲットにした方がいいんじゃないの?」みたいな話だと僕は理解している。

 しかしそれが少子化対策になるんだろうか?

 マイルドヤンキーを少子化対策に結びつけるには、マイルドヤンキー層に今以上に子供を生んでもらうか、マイルドヤンキー層を今以上に拡大して行くしか方法がない。前者は限界があるだろう。だが、後者は可能かもしれない。

 低所得、低学歴、地方在住の若者を増やせばいいのだ。そしてそこに対して、重点的な結婚後押し政策予算を付け、税制優遇を行えばいいという考えなのかもね。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

「希望出生率1.8」をいかにして実現するか」への1件のコメント

  1. ピンバック: 「伝統的家族」は復活しない | 新佃島・映画ジャーナル

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