IS対策と日本国憲法

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 日本国憲法は第9条において、我が国が『国際紛争を解決する手段』として『国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使』を行うことを禁じている。またこうした禁止を徹底するため、これらの目的に使用するための『陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。』と定めている。

 これを読んで「日本は一切の戦争ができない。自衛戦争も禁止だ」と考える人も多いのだが、自衛のための戦いは『国際紛争を解決する手段』ではないので、憲法9条が禁じる戦争には該当しない。また「専守防衛」のための武器しか持たない自衛隊も、憲法が禁じた『陸海空軍その他の戦力』には該当せず、他国から一方的に吹っ掛けられた紛争を防ぐのに『国の交戦権』もへったくれもない。

 日本国憲法は第13条において『すべての国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。』と定めており、国民の生命や財産を守ることは国の義務でもある。他国が不法な手段でこれを毀損しようとするなら、日本政府は何らかの方法でこれを防ぐ努力をしなければならない。自衛隊はそのために存在する。

 さて、ではIS(イスラム国)との戦いが今後本格化したとき、日本はシリアに自衛隊を出せるだろうか? あるいはそうした戦いに、武器供与や補給、警備などの形で積極的な協力をすることができるのだろうか?

 憲法に照らした限り、それを禁じる条文はないと思う。対テロ戦争は主権国家を相手とする『国際紛争』ではないからだ。ISは自分たちを「国家」だと名乗っているが、それを認める国は現在ひとつもないし、今後もそうした国は現れそうにない。だとすればこれは犯罪組織だ。この点については国際的なコンセンサスも取れているので、ISとの戦いに日本が参加しても、それが憲法違反になることはない……と僕は思っている。

 安倍首相は対テロ対策に日本も全面的に協力すると国際社会に対して約束し、これに対しては反安倍派のリベラリストたちが一斉に反発している。そして「日本もテロに巻き込まれてしまうぞ!」と言っている。

 でも国際的なテロ組織という無法者に対しては、国際社会が一致団結して「それは許されない。俺たちは戦うぞ!」と声を上げるしかないのだ。それに対して「いやいや、むしろ今は相手の言い分を聞く方がいいのだ。テロの標的になったら困るだろ?」と言うのは許されない。

 それはクラスの中の乱暴ないじめっ子に対して、「クラスの中の他の生徒が一致団結して立ち向かおう。いじめっ子は許さないぞ!」と意見がまとまりかけているときに、「でも僕はいじめられるの嫌だから、むしろいじめっ子の側に立つよ」と言うのと同じこと。あるいは「いじめっ子に大勢で立ち向かうというのは、結局のところ数の力で相手を屈服させる新たないじめじゃないのかな。僕はどっちの味方もしないで第三者の立場を貫くよ」と日和見を決め込んでいるだけのこと。

 日本は日和見主義でいいのかね? ISが好き勝手にテロを行ったり、自分たちの支配地域で拷問や殺戮などをやりたい放題にしていることにも、我関せずで構わないんだろうか?

 僕は日本にそれは許されないと思っている。なぜなら「自分の国さえ平気なら他国がどうなっても構わない」という態度を、日本国憲法が強く諌めているからだ。日本国憲法の前文には次のように書かれている。

 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

 『平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ』のであれは、日本人は何をすべきなのだろうか? IS支配地の人々が『恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利』を確保するために、我々は何ができるのだろうか?

 「テロの巻き添えになりたくない」という理由で、『自国のことのみに専念して他国を無視』することは許されるのだろうか? 『政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務である』と宣言している日本国民は、ISに対して「うちは知りません。関係ないもんね」で済まされるのだろうか?

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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