中国の一人っ子政策見直しは手遅れ

一人っ子政策全廃

東京新聞

 昨夜のニュースで中国の一人っ子政策が全廃されると報じられているのを見て、「今さら遅い!」とか「もう手遅れ」と思った人は多かったはずだ。

 中国が一人っ子政策を廃止する理由は日本の少子化問題と同じだ。人工的な少子化政策によって高齢化が進み、生産労働人口が減って経済成長にブレーキがかかる。また少数の子供で両親と祖父母を世話しなければならず、いずれ社会保障が追いつかなくなることが目に見えている。

 しかし1979年に一人っ子政策がはじまってから36年目の廃止だ。中国社会は既に「夫婦に子供ひとり」という家庭像に最適化した形で発展しているため、今から2人目の子供を生むという人がどれだけいるだろうか。中国では中流レベルの家庭でも、子供に潤沢な教育費を注ぎ込む。その結果として中国の教育水準は上がり、国際的な大学ランキングに入る大学の数で中国が日本を追い抜くという現象も起きている。

 36年間も一人っ子政策を続けていたのだから、これから結婚して子供を生もうとする若いカップルたちは「一人っ子家庭」しか知らない。自分も一人っ子なら、配偶者も一人っ子だ。そんな中で若い夫婦が「子供が複数いる家庭」を思い描き、人生設計をすることは困難だろう。

 断言してもいいが、中国は今後も少子化が加速していく。いずれ中国は「3人目の出産解禁」に踏み切らざるを得なくなるだろうし、場合によっては中絶の非合法化など、かつて東欧諸国で広く行われていた政策へと180度転換する可能性だってあるのではないだろうか。

 労働人口が少なくなれば、労働者の賃金が上昇する。中国は安い労働力を世界に供給する「世界の工場」の立場を他国に譲らざるを得なくなる。(それをどこが引き受けるかはわからないが、しばらくは他の東南アジア諸国や南アメリカであり、将来的にはアフリカがその役目を担うようになるだろう。2020年代にはインドが中国の人口を追い抜くという予想がある。)

 東京新聞には中国の専門家による中国の人口予想グラフが掲載されていた。来年1夫婦2人までの子供を認め、2018年には制限がなくなった場合でも、中国の総人口は2020年頃をピークに急速に減少していく。日本も人口減少に転じているわけだが、中国は人口のスケールが違うからその社会的なインパクトは途方もないものになるはずだ。

 中国はここ20年ほどで急速に経済発展を遂げてきたが、人口減少でそれに急ブレーキがかかることは避けられない。都市部が地方農村部の富を集約する形で豊かさを維持し続けようとすれば、地方は疲弊して政情は不安定化するだろう。

 僕の世代はソ連が解体する様子をリアルタイムで目撃したわけだが、僕の子供や孫たちは中国が解体する様子をリアルタイムで目撃することになると思う。まあその時期は、もっとずっと近いかもしれないけどね。ソ連だってあっという間に解体しちゃったしね……。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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