新国立競技場は誰に対する公約なのか?

新国立競技場

 国民のほとんどが反対しているのに、国がだらだらと現行案で押し進めようとしている新国立競技場の建設計画。

 この件に関して記者に質問された管官房長官は、「デザイン見直しは無責任だ」と一蹴。安倍総理大臣は「計画は民主党時代に決まっていたものだ」と責任逃れをしていて、どのみちこの問題を見直す考えはないらしい。

 結局、現行プランを進めようとしている人たちの意見は、次の3つぐらいの理由があるのだろう。

  1. 国立競技場は現在のデザイン案でオリンピック誘致のプレゼンをしており、デザイン変更はその約束を破ることになる。

  2. デザイン見直しとなれば現行案で建築家に支払ったデザイン料が無駄になり、違約金が発生する恐れもある。これらはすべて捨て金になってしまう。

  3. 1,000億円規模の設計をやり直すとなれば公平性の観点から国際コンペは不可欠だが、今からコンペをやり直す時間的な余裕はない。

 このうち2点目と3点目については、既に十分な反論がなされていると思う。というか反論以前にこんなものは、言い訳にも何もなりませんわな……。

 2に関して言うと、当初予算1,300億円が2,520億円に倍増してしまったことに比べれば、デザイン料や違約金支払いなどは微々たるもので、それらを支払ったとしてもなお十分な予算節約になる。

 3に関しては再度コンペをやり直す必要はなく、前回のコンペで採用されなかった案の中から、予算や工期の点で実現可能性の高いものを改めて採用すれば済む話だ。再度コンペをやって前回のコンペ参加者と同じ建築家たちに再度声がけするのであれば、出てくるプランは同じようなものになるに決まっているではないか。

 結局、一番のネックは1なのだと思う。「もう作るって言っちゃったのに、今さらそれをひっくり返せない」という見栄や外聞の問題なのだ。安倍総理はプレゼンテーションにも参加して大見得を切っているし、そこでの約束を反故にすれば、自分が約束を破ったように見られてしまうことを恐れているのかもしれない。

 でもそもそも約束を破ったのは、「1,300億円の範囲で設計をお願いします」と言われていたのに、3,000億の予算がかかる設計をコンペに出してきた建築家なのだ。コンペの審査員は土木や施工の専門家ではないから、出品されたデザインが1,300億円でできますと言われれば、そのつもりで審査をするだろう。だが結果は3,000億かかるものだった。ならばこれは失格であり、選外として採用から除外すべきなのだ。

 そうした「当たり前」の手続きを取らないまま、何が何でも現行デザインにこだわる理由はなんなのだろうか? いや、そもそもデザインにこだわってさえいない。現行デザインはコンペに出品して採用された案の規模を縮小したものであり、最初のデザインに比べるとこぢんまりしたものになっている。さらにオリンピック開会時点では屋根も付けず、観客席も一部は仮設シートになっている。その結果が2,520億円なのだが、これって既にオリンピック誘致で約束した競技場じゃなくなってるじゃんか!

 結局いまの状態で競技場を建設することは、誰にとっても何のメリットもないのだ。デザインを応募した建築家は、当初の自分のプランを大幅にねじ曲げられてしまって不本意だろう。オリンピック誘致で約束した内容は守られていない。建築予算は膨れ上がって、最終的にどのぐらいの金がかかるのかもわからない。国民の大多数がこれに反対し、内閣支持率を落とす要員のひとつにもなっている。どう考えたって、誰も得してないじゃん!

 誰も得をしない計画なのに、「一度決めたことだから」とか「今さらやめられないから」と必要な決断をしないまま、だらだらと無駄な事業に突入して行く不条理。その一方で、首相は安保関連法案の成立には熱心で、これも不条理この上ない。

 ただ新国立競技場の建設と安保関連法案の成立には、共通することがある。それは安倍首相が自ら海外に出かけ、現地で「やります!」と約束してきたという点だ。安倍首相は日本国民の声より、日本の外で自分がどう見られるかをとても気にしているらしい。日本国民の利益より、自分自身の体面を取りつくろうことに熱心なのだ。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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