憲法違反を判断するのは最高裁だけ?

最高裁判所

画像:Wikimedia Commons

 与党が提出している安保関連法案に対して、憲法学者やマスコミがこぞって「憲法違反だ」という声を上げていることに対して、自民党の中から「合憲違憲の判断は最高裁判所のみが下すものであり、最高裁で違憲の判決が確定するまで法案は合憲である」と言っている人がいるようだ。

 確かに日本国憲法には次のように書かれている。

第八十一条
最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

 しかしこれは「最高裁判所以外が違憲判断をすることは許されない」という意味ではなかろう。最後の最後まで決着が付かなければ、最終的には最高裁が判断することになる。しかしそうでないものについては、別にその前の段階で誰かが判断したって構わないのだ。

 憲法には次のようにも書かれている。

第九十九条
天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

 公務員には憲法尊重と擁護の義務がある。では彼らはその義務が具体的にどんなことであり、何をすればその義務を放棄したことになるのかについて、いちいち最高裁判所の判断を仰がなければ何も行動できないのだろうか? まさかそんなことはあるまいに……。

 では自民党の言う「合憲違憲の判断は最高裁判所のみが下すものであり、最高裁で違憲の判決が確定するまで法案は合憲である」という理屈は、はっきり言って屁理屈なのだ。

 例えば殺人罪で逮捕された男がいたとしよう。彼は殺人の事実は認めたが、「これは悪くない。止むに止まれぬ事情によるものであり無罪である」と主張している。警察関係者は彼を有罪だと考え、検察官も当然有罪だと主張し、マスコミも世間も彼を有罪だと言っている。案の定、地方裁判所の判決は有罪。高等裁判所でも同じように有罪だった。ところが男は上告してさらに最高裁の判断を仰ぎ、「最高裁の判断のみが最終的な判断なのだ。最高裁が俺を有罪だと認めるまで俺は無罪だ!」と言っている……。

 自民党が「最高裁が判断するまで安保関連法案は合憲だ!」と言っているのは、結局この殺人犯の主張と変わらないのだ。最高裁がその判断をするのに何年かかるのか? 3年か? 5年か? あるいは10年か? 殺人犯は逮捕されて身柄を拘束されているが、政府は最高裁の判断が確定するまで「合憲だ!」と言い張って好き勝手なことができる。これって恐ろしくないか?

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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