「さんすくみ」最終巻

さんすくみ 10

 絹田村子の「さんすくみ」が10巻で完結した。古都奈良を舞台に、寺の息子、神社の息子、教会の牧師の息子の3人が、同じ高校で知り合って親友同士になって……というコメディ作品。原型となる「読経しちゃうぞ!」が出たのが2010年だから、だいたい5年かけて完結したことになる。まあ「読経しちゃうぞ!」の雑誌掲載から見れば、もっと前からになるわけだけど……。

 身の振り方としては牧師の息子・工が一番最初にドイツ留学を決めたのだが、寺の息子の孝仁はハワイに行くことになり、神社の息子・恭太郎も一人前の神職になる。かくして三人組はバラバラになってしまうわけだが、その過程でそれぞれの成長がきちんと描かれているところがいい。このシリーズは細かな「宗教ネタ」でいろいろと勉強させられたのだが、今回は孝仁がハワイに行きで悩む際の台詞がかっこよかった。

 僧侶の本分は、元祖さんの立教開宗の精神に則って、その教えを広く伝えることなんだ。俺はその坊さんなんだよ、七緒。9歳で得度を受けた時からずっと。(p.71)

 いや〜、かっこいいねぇ……。

 最終話はおまけみたいなものだけど、これを見るとこの作品にはもう続きがないことがわかる。僕には「青春映画」や「青春ドラマ」の定義があって、それは「何者でもない者たちが何者かになろうともがく物語」というもの。「さんすくみ」はまさにそういう青春ドラマだったが、彼らは無事に成長して何者かになることができた。主人公3人の長い長い「青春時代」は終わり、彼らは大人になってしまったのだ。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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