僕が『七人の侍』を推さない理由

七人の侍

 『七人の侍』が黒澤明の代表作であり、戦後日本映画黄金時代を代表する作品であることは否定しない。しかし黒澤映画をこれまで1本も観たことがない人が、最初に観る黒澤映画としてはハードルが高いです……。

理由1:長い!
 上映時間3時間半は長い。これは「今日はこの映画を何が何でも観るぞ!」というかなりの意気込みが必要。2時間弱の映画に慣れている人には、もうこれだけで「とりあえず他にも観たい映画があるから、そっちを先にしよう」と思わせるに十分だと思う。

理由2:モノクロ映像
 映画がモノクロだというだけの理由で、それはもう観ないという人が結構いる。それを批判してもしょうがない。これは結構な数なので、アメリカでは古い映画をテレビ放送するときにCGで着色して放送したりしている。そうしないと観てくれないからです。『七人の侍』も誰か着色版を作らないかなぁ……。

理由3:スタンダード画面
 最近の16:9の液晶テレビで古い映画を観ると、画面の左右が黒味になって余ってしまう。これが映画にチープな印象を与えてしまうのは残念だ。DVDだろうがBlu-rayだろうが、これは変わらない。

理由4:録音が悪すぎる
 『七人の侍』だけではないのだが、黒澤明の初期の作品は録音がひどくて台詞がよく聞き取れないものがある。映画館で大音量で観ればなんとなくわかるのだが、あのくぐもった音声を自宅のテレビで観ていても何言ってるんだかよくわからないぞ。(DVDで字幕を出しながら観ると良い。)

理由5:知っている役者が誰も出て来ない
 『七人の侍』には最近のテレビや映画に出ている俳優がほとんど誰も出て来ない。知らない俳優ばかりが出てくる映画は、観続けているのが結構つらいぞ。黒澤映画を何本も観ていると、いわゆる「黒澤組」の俳優たちの顔を少しずつ憶えて馴染みになってくるんだけどね。

 しかし一番のネックはやはり「長い!」ということだと思う。黒澤映画を最初に観るなら、まずは『椿三十郎』とか『隠し砦の三悪人』から観ればいい。これらはモノクロだけどワイドスクリーン。録音もだいぶ良くなっていて、台詞だって聞き取りやすくなっている。

 これらを観てから次に『七人の侍』を観れば、出てくる役者の半分……とは言わずとも何人かのキーになる人物はわかる。三船敏郎と志村喬がわかる。藤原釜足が、千秋実が、土屋嘉男がわかる。これらをとっかかりにすれば、『七人の侍』も何も知らずに観るよりがぜん面白くなるはず。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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