黒澤明のヘンテコ映画

どですかでん

 黒澤明監督はゲージツカなので、時として自分の情念やビジョンが暴走してとんでもなくヘンテコな映画を作ってしまうことがある。以下は、そんな黒澤ヘンテコ映画5選。

『どですかでん』
 黒澤明初のカラー作品は、「オレだって低予算の映画が作れるんだ!」ということを証明するためにごく短期間で撮影されている。天気待ちでロケ日程を空費するという黒澤伝説を打ち消すように、この映画では天気が悪ければ地面にペンキで影を描いてしまうという荒技を披露。出来上がったのはポンコツ映画だと思うけれど、これが超一流のポンコツ映画だから目が離せない。1度観ると唖然とするが、2度目からはこれがクセになる。

『わが青春に悔なし』
 当初予定していた脚本が左翼の牛耳る東宝社内の脚本委員会でコテンパンにダメ出しされ、やけくそで作ったのがこの映画。映画終盤で恋人を失った原節子が、死んだ恋人の実家に乗り込んでひたすら畑仕事をするというわけわからん展開になる。小津映画の原節子しか知らない人にとっては、この映画と『白痴』はトラウマだろう。だが『白痴』の原節子は登場した瞬間からオカシイが、『わが青春に悔なし』の原節子は登場したとき大学教授のお嬢さん。設定だけなら小津映画のヒロインだから、終盤の泥まみれのお百姓仕事が大変なことになってしまう。

『生きものの記録』
 黒澤明の原爆アレルギーが炸裂した異色作。原爆恐怖症になった老人が家族を引きつれてブラジルに移民しようとするが、家族に大反対されてボケ老人扱いされる仕打ちを受け、あげくの果てに本当にボケてしまう。まだ若い三船敏郎に老けメイクをさせて、老いてもギラギラした生命力をみなぎらせる主人公を熱演させている。

『夢』
 黒澤明が自分の夢をモチーフに作ったオムニバス映画だが、内容的には玉石混淆。まあ黒澤の場合は「石」であっても、とてつもなく高価な石になるんだけどね……。例えば雪女のエピソードで雪が発泡スチロールのつぶつぶにしか見えないとしても(これじゃテレビのバラエティ番組だよ)、画面にみなぎる迫力がそれを上回る。黒澤の原子力アレルギーはこの映画でも発揮されていて、そのストレートな物言いに唖然とするばかり。

『一番美しく』
 これは別にヘンテコ映画ではないのだが、黒澤明が作った数少ない「ガールズ・ムービー」という意味では珍品。女子挺身隊を主役にした映画は珍しい。「女子挺身隊=従軍慰安婦」だと思っている韓国人は、この映画を観て挺身隊の何たるかを勉強した方がいいと思うぞ。黒澤明は出演した若い女優たちを徹底的にしごき、これで映画の仕事にウンザリした彼女たちは次々に結婚して映画界を去ってしまったという。主演の矢口陽子も黒澤明と結婚した。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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