新三要件で日本は戦争に一直線!

安倍首相会見の要旨 安保法制法案の閣議決定を受けて

写真:朝日新聞デジタル

 安全保障関連法案の閣議決定のあと、安倍首相が記者会見。まあこの内容についてはまだ細かく見ていないのだが、関連法の前提になっている「新三要件」について、僕は「ずいぶんな話だなぁ」と思っているので、それについて書いておく。

 新三要件については、防衛省のWEBサイトに関連の記事がある。

■憲法第9条のもとで許容される自衛の措置としての「武力の行使」の新三要件
◯ わが国に対する武力攻撃が発生したこと、またはわが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること
◯ これを排除し、わが国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと
◯ 必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと

 要するにこの条件がすべて整えば、日本は「集団的自衛権」を行使して武器が使用できるわけだが、これが具体的にどんな事態を想定しているのかは、文言からだけではよくわからない。

 まず『わが国に対する武力攻撃が発生したこと』は個別的自衛権の問題なので、これについては議論する必要があまりないと思う。世の中にはいまだに「自衛のための戦いも認めない!」とおっしゃる方がいるようだが、それはもはや少数派だろうからとりあえず無視しておく。

 問題は『または』以後の記述だ。

 新三要件においては、『わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある』と判断された場合は、それが『わが国に対する武力攻撃』と同等の重みを持つ事態とみなされる。

 ここではひどく抽象的な書き方をされているのだが、『わが国と密接な関係にある他国』がアメリカを意味していることは間違いない。韓国だって、中国だって、北朝鮮だって、『わが国と密接な関係にある他国』と言えなくはないはずだが、この要件がそれらの国を第一に想定しているわけではないだろう。

 アメリカに対する武力攻撃が発生し、あるいはアメリカが他国と交戦状態になったことで、『わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険』が生じることが、実際にあるんだろうか? アメリカが核攻撃されて、大統領府などの政治機能が麻痺してしまうとか? うん。それは確かに『わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険』と言えるだろうな……。でもこれは、そんな極限状態を想定しているわけではないと思う。

 これはアメリカが日本に対して、「我が国の戦争に同盟国たる日本が協力しないなら、アメリカは日米安保条約の見直しをするかもしれないよ」と脅しをかけてくるような事態も含まれているのだ。

 これは多くの人が認めていることだが、日本の戦後の平和と安定は日米安保条約によって保たれてきた。今後も日米同盟は日本外交の基本であって、周辺国との領土問題などについても日米安保があればこそ、(実際にどうかはともかく)安心していられるという面があるのは事実だ。日米安保こそが『わが国の存立』を支えている。日米安全保障条約が、『国民の生命、自由および幸福追求の権利』も保障しているのだ。

 だから日本の新三要件の発動のとっかかりとなるのは、「アメリカの艦船が攻撃されたらそこに日本人避難民が乗っていて云々」でなくても構わない。アメリカが「日本も戦争に協力しろ。でないと安保を見直す」と言えばそれで済む。

 我が国には日米安保以外に、『わが国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がない』のだから、これで三要件の2点目も突破。あとは『必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと』を言い訳にして、日本はアメリカの尻にくっついて戦場に出かけることになるんだろう。

 安倍首相は14日の記者会見で次のように述べている。

 それでもなお、アメリカの戦争に巻き込まれるのではないか。漠然とした不安をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。その不安をお持ちの方にここではっきりと申し上げます。そのようなことは絶対にあり得ません。新たな日米合意の中にもはっきりと書き込んでいます。日本が武力を行使するのは日本国民を守るため。これは日本とアメリカの共通認識であります。

 「日米同盟を守ること=日本国民を守ること」だと解釈すれば(事実そうなんだけど)、アメリカが「日米同盟の大幅見直し」をちらつかせた時点で自衛隊出動だと思うよ。

 もちろんこうした法案が通ったからと言って、2〜3年後に日本がどうこうするとは思わない。安倍首相は本気で「日本が海外で戦争をすることはあり得ない」と考えているのかもしれないし、安倍首相が総理を務めている間は自衛隊が海外で戦争に関わるようなことはないような気がする。

 でも10年後はどうだろう。あるいは15年後、20年後はどうか?

 自衛隊が最初に海外に派遣されたとき、日本国内では大きな議論が巻き起こった。それ自体が、憲法違反なのではないかという反対意見も多かった。しかし日本政府はそれを「国際貢献」という名で押し通し、現在は自衛隊が海外で活動することは当たり前の事になっている。

 それが悪いとは言わない。しかし自衛隊の海外派遣が最初に議論されはじめた段階で、今日のように「集団的自衛権行使で自衛隊が世界中どこにでも出かけて戦闘行為を行う」ことを想定した人がどれだけいるだろうか? まあそういうことを言う人はいたよ。でも誰もがそれを「大げさだ」と思ってバカにしていたよね。でも結果として、今この状況に至っている。

 安倍首相は「日本が海外で戦争することはあり得ない」と言う。「戦争法案では断じてない」と声を荒げて反論する。でも10年20年経ったら、日本の自衛隊は海外で戦争に参加していると思うよ。「そんなつもりじゃなかった」と言っても、その時はもう遅いんだよ。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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