安保ただ乗り論は沖縄を愚弄している

沖縄の米軍基地

画像:アゴラ

 集団的自衛権の行使を容認したり、米軍の後方支援を積極的に行うべきだと主張する人たちの中には、「日本は日米安保によってアメリカに守られているのだから、その見返りとして日本に出来ることはどんどん積極的に行うべきだ」と言う人たちがいる。

 日本は憲法9条によって戦後の平和と繁栄を手に入れたわけではない。日本の平和は日米安保によって、アメリカの軍事力によって守られている。これは間違いなく事実だろう。しかし日本がアメリカにおんぶに抱っこで、一方的に安保条約の恩恵を被っているわけではない。日本はアメリカの対外戦略にとって重要な軍事基地を提供し、その見返りにアメリカに自国防衛の一端を担ってもらってきたのだ。

 ところが日本人のほとんどは、アメリカに重要な基地を提供しているという自覚がない。当たり前だ。日本の米軍基地の7割以上は沖縄に集中している。沖縄以外の場所に住んでいる人は、米軍基地や駐留米軍の存在を身近に感じることがほとんどないのだ。だから「日米安保で日本は基地を提供し、米軍は兵力を提供している」という当たり前のことが忘れられて、日本は一方的にアメリカ頼みになっているかのような錯覚に陥ってしまう。

 沖縄は基地提供のために、多大な犠牲を支払っている。にもかかわらず「安保は日本のただ乗りだ」「アメリカに申し訳ないと思わないのか」などと言うなら、それは沖縄の基地提供という事実を軽んじているのだ。これは沖縄をひどくバカにした話だと思うけどな。

 沖縄では普天間基地の辺野古への移設を巡って、政府との間で丁々発止のやりとりが続いている。これに対して「沖縄は文句を言うな」と頭ごなしに乱暴なことを言う人たちも多い。「沖縄の基地地主は十分な地代を受けているぞ」とか「沖縄経済は米軍の落とす金で回っているのだ」とか「沖縄から基地がなくなれば沖縄経済は破綻するぞ」と言う人もいる。まるで沖縄の米軍基地で、沖縄だけが大きな恩恵を受けているかのような言いぐさだ。

 でもそれは副次的なことではないのか? 沖縄になぜ基地があるのかと言えば、それは日米安保の取り決めがあるからだ。日本はアメリカに基地を提供しなければならない。そしてその負担の7割以上を、沖縄が担っている。それによって恩恵を受けているのは誰だ? 沖縄県民なのか? 違う! 日米安保で恩恵を受けているのは、日本国民全体ではないか。その自覚があるなら、沖縄に対して「文句を言うな」などとは言えないはずだ。「もちろん文句はおありでしょうが、まことに申し訳ありませんが基地を受け入れてください。その埋め合わせのために、日本国民は力を合わせて沖縄を支援いたします」と言うのが筋ではないか。

 もっとも最近の情勢を見る限り、沖縄の米軍基地をアメリカが本当に必要としているのかどうかは疑問だと思う。今から70年ほど前、沖縄に最初に米軍基地が作られた頃に比べれば、航空機の性能は格段にアップしている。沖縄に基地がなくても、米軍は例えばグアムあたりから東アジア全体に睨みをきかせることが出来るのだ。

 実際のところ、現時点で沖縄の米軍基地を必要としているのはアメリカではなく日本なのだろう。中国とは尖閣領有を巡って争っているし、北朝鮮の問題もある。沖縄の米軍兵力が他に移転して力の均衡が崩れると、そこに中国が出てくるのではないか……という恐れがあるからだ。

 日本はアメリカに沖縄の基地を献上して、その見返りに自らの安全を守ってもらおうとしてきた。しかし最近はそれだけでは足りず、軍事的により積極的な協力をアメリカにしようとさえ考えている。なんだか日本はアメリカの属国だよなぁ……。

 東シナ海の安全が脅威にさらされているなら、日本はアメリカに基地や戦力を献上して守ってもらうのではなく、日本が自主的に自衛隊の部隊を配備して近隣の防衛力を強化するのが筋だと思うんだけどな……。これは個別的自衛権の問題だよ。そういう話がまったくないまま、アメリカ頼みでことを進めようとするから「集団的自衛権の行使容認」みたいなことになるんじゃないのかな。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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