同性婚の容認は少子化解消につながる

日刊ゲンダイ

写真:日刊ゲンダイ

 同性結婚が制度化されることで「少子化が加速する」と言う人がいるのだが、僕はむしろ逆に「少子化解消につながるのではなかろうか?」と思っているので、今回はその話を書こうと思う。

 まず「同性婚で少子化が加速する」という意見だが、これについては「データ的な裏付けがない」というのが現時点での常識的な反論になるのだと思う。

 海外では同性婚を正式に認めている国や地域が複数あるけど、それによって少子化が加速したというデータはない様子。むしろ同性婚を認めた地域で、出生率が上がったり、出生率の低下がゆるやかになっているというデータもあるようだ。(ただしそれが、同性婚を認めたことによる結果なのかどうかはわからない。)

 データのことはともあれ、「同性婚で少子化が加速する」と主張する人たちの頭のなかには、次のような発想があるのだろう。

  1. 同性婚では子供を生むことができない。
  2. 同性婚が増えれば子供を生むカップルが減る。
  3. 世の中が同性婚ばかりになれば子供は生まれなくなる!

 ただしこれは最初の「1.」から間違いで、同性婚でも少なくともレズビアンのカップルは人工授精などの手段で妊娠出産が可能だ。海外では実際に、第三者からの精子提供を受けて子供を生むレズビアンカップルが少なくないという。ゲイのカップルには妊娠出産ができないが、これも海外ではゲイカップルであっても養子縁組をすることが法的に可能なところがあり、子供が「ふたりのパパ」に囲まれてすくすくと育っている例は多いのだ。

 2番目や3番目については「同性婚を認めることで同性愛者の数が飛躍的に増える」ということがなければあり得ない。同性婚の制度ができたとしても、それを利用するのは同性愛者だけ。制度ができたからといって、これまで異性愛者だった人が「せっかくだからオレも同性愛者になってみようか」とは思わないでしょ?

 つまり同性婚の制度ができたとしても、それによって「子供を産まないカップルが増える」とは考えにくい。むしろレズビアンカップルなどを「結婚」の枠組みに入れることで、人工授精などで子供をうもうとする人たちが増えるかもしれないけどね……。

 では逆に、同性婚を認めることでむしろ少子化が解消するのではないか……という僕の意見について簡単に述べておこうと思います。

 少子化問題について考えたり調べたりしたことがある人は誰でも知っていることだと思いますが、日本で少子化が進んでいる最大の理由は「晩婚化」と「未婚化」にあります。じつは結婚しているカップルが生む子供の数は、昔も今もそれほど変わらない。しかし日本は今、結婚する人の数が減っているわけです。

 あと晩婚化によって、やはりどうしても子供の数が減ってしまうことは避けられない。女性が20代前半で結婚していれば10年かけて30代前半までに3人の子供を生むことは可能でしょうが、女性の初婚年齢の平均が30歳に届こうとしている今では、やはり3人生むのは結構厳しいわけですね。

 ではなぜ若い人たちは結婚しなくなってしまったのか? それは結婚に対して日本社会が持つさまざまな「思い込み」や「決めつけ」が、若い人たちを結婚から遠ざけてしまっているからでしょう。「結婚とはこういうものである」「結婚したらこうしなければならないのだ」「夫はこうすべきである」「妻はこうあるべきである」という、伝統的な「家族観」や「家庭観」に縛り付けられているわけです。

 男は結婚したら家族を養わなければならない。妻は結婚したら家事と育児をしなければならない。だから結婚前に男性には年収◯◯万円は必要だし、女性には家事を一通りこなすだけのスキルが必要だ……とか、まあそういうことが「結婚」という言葉を聞いた途端にパッと頭に浮かぶわけです。

 でもそういう「世の中で広く認められているスタンダードな結婚生活」が出来る人たちって、今の日本ではどんどん少数派になっているんだよね。

 でも同性婚の存在は、そうした「結婚とはかくあらねばならない」という前提を根っこから吹き飛ばしてしまう。結婚とは夫が妻や子を養うことでも、妻が夫や子供の世話をすることでもない。愛しあう者同士が一緒に生活するならそれが結婚で構わないじゃないか!という、ごく素朴でプリミティブな原点に引き戻されるわけです。

 結婚しない理由やできない理由を考え始めると、そんなものは際限なく山ほど出てくるのです。でも結婚する気があれば、どんな人だって結婚できるし結婚していいんだという世の中になるべきだと思う。男同士でも、女同士でも、愛し合っていれば結婚できるのであれば、いわんや男と女の間で結婚できない理由をあれこれ数え上げるのはナンセンスでしょう。

 同性婚は日本社会の中にはびこる「結婚」についての思い込みや固定観念を、きれいに解きほぐしてくれると思うのですね。それはいま出ている「同性婚に反対する理由」を見れば明らかでしょう。「同性婚は◯◯だからダメだ」という人たちは、結局普通の結婚にその「◯◯」を求めているに他ならない。例えば「同性婚は子供ができないからダメだ」という人は、子供ができない結婚はダメだと思っているのです。「同性婚は日本の伝統的な家庭や家族の姿を壊してしまう」という人たちは、結婚を「伝統的な家庭や家族の姿」に押し込めようとしているのです。これがどれだけ、日本の「結婚」を狭苦しくて息苦しい物にしていることか……。

 同性婚によって若い世代の「結婚」に対するハードルは下がりこそすれ上がることはない。結婚に対するハードルが下がれば、結婚する人が増えて、結果として子供の数も増えるかもしれない。僕はそんな風に考えています。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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