ナセル永野さんに話を聞く

宗教と現代がわかる本 2015

 昨日はキリスト教記者クラブのオフ会(勉強会)で、日本人ムスリムで臨床宗教師のナセル永野さんに話を聞く機会があったので、その内容と思ったことを少し書きとめておく。

 2時間の勉強会だったが、最初に参加者全員とナセルさんが自己紹介した後、参加者にメモ用紙を配って質問や知りたいことなどを書いてもらうことからスタート。質問の多くが最近ニュースで話題の「イスラム国」についてだったので、それを中心にしてほとんどの時間が費やされる感じだった。

 以下、出てきた話題を思い出せる範囲で箇条書きにしてみる。以下、ナセルさんが述べていることもあれば、質疑応答や雑談の中で出てきた参加者の発言もあるのでご注意を。

  • イスラム教には組織がない。聖職者はいないし、信者の上下関係もない。自分と神様の1対1の関係しかないので他人は関係ない。究極のKY。
  • 「イスラム国」を、IS、ISIS、ISIL、ダーイシュなどと呼び変える人も多いが、「イスラム国」は「イスラム国」のままでも構わないのではないか。
  • イスラムのカリフ制にはそもそも国家という概念がないので、「イスラム国」がカリフ制による国家樹立を目指しているとしたら矛盾である。
  • 国家という概念には200年ぐらいの歴史しかないが、イスラム国は中東地域をそれ以前の状態に戻そうとしているのではないか。
  • 「イスラム国=カリフ制による国家を目指している」という定義は欧米系のメディアには出てくるが、それ以外の場所からは聞かない話。欧米メディアを情報源とする日本の報道は、必ずしも事実を正しく伝えていないのかもしれない。
  • 最近はわからないが、少し前までインドネシアやマレーシアでは「イスラム国」に資金提供するためのチャリティーなどが大っぴらに行われていた。
  • イスラム圏には以前からカリフ制の復活を主張する政党などもあったので、「イスラム国」にはその支持者が流れ込んでいる可能性もある。
  • 「イスラム国」の支配地では、アメリカの無人機による爆撃などで大量の民間人死傷者が出ている。その中で「イスラム国」は正当防衛としての戦いを主張しているが、彼らの主張を支持しないまでも、彼らの考えは理解できる。
  • 中東地域の政治的な不安定さは、パレスチナ問題が解決しない限り解決しない。「イスラム国」が弱体化したとしても、それで問題が解決するわけではない。
  • イスラム国指導者でカリフを自称するアブー・バクル・アル=バグダーディーは、本当のところどういう人なのかさっぱりわからない。
  • 「イスラム国」は異教徒への弾圧が激しいと報じられているが、「イスラム国」との戦いを指揮しているアメリカ軍の指揮官はキリスト教原理主義者で、中東からイスラム教徒を一掃するか全員をキリスト教に改宗させると言っているらしい。極端な主張をしているのは「イスラム国」も、それを叩き潰そうとする側も同じだ。
  • 世界中から若者たちが「イスラム国」を目指す理由のひとつに、戦闘員に高い給料が支払われていることがある。資金源は石油などだが、これらは闇マーケットを通じて世界中に出回り、日本もそれを買っている可能性が高い。
  • 「イスラム国」内部では最近になって情報統制が強化されているらしく、TwitterやFacebookなどで現場からの情報が出てくることが少なくなった。
  • 「イスラム国」内部の組織や、連絡手段、命令系統が実際にどうなっているか不明なので、「イスラム国」にパイプを持っている人たちが具体的にどの程度の影響力を行使できるかはわからない。
  • 「イスラム国」が行っている残虐行為はイスラム本来の教えに反しているかもしれないが、イスラム教には指導者も聖職者もいなければ組織もないので、それに対して「あんなものはイスラムではない」と明確に断言できる人が誰もいない。
  • 「イスラム国」の問題は日本では遠い外国の問題だが、日本にいてもイスラム教徒にとってはわりと身近な問題。日本各地のモスクには警察や公安の目が光るようになったし、集まってくる信者たちには監視や尾行も行われているらしい。

 他にもいろいろな話が出ていたけれど、きりがないのでこの程度で……。

 今回はキリスト教記者クラブのオフ会としてはいつにない盛況ぶりで、主催者によれば「過去最高の参加者数だったかも」とのこと。会の終了後には参加者から「そもそもイスラムの基本的なことがわからない」という話が出たので、ひょっとしたらナセルさんを招いた勉強会は第2弾があるかもしれないな。

 もう少し基本的なところから、例えば「キリスト教とイスラムの関係」などについて、具体的に聞いてみたいことが僕にもいろいろあるんですけどね。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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