読売新聞の部数減が激しい……

新聞の発行数

 従軍慰安婦問題だの、吉田調書だの、池上コラムだの、いろいろあった昨年のドタバタ騒ぎで発行部数が激減と言われている朝日新聞なのだが、データを見る限りではそうでもないんじゃないの?

昨年と一昨年の発行部数を比べる

 まあソースは日本ABC協会だから実際の数がどうなのか実態は不明瞭ではあるのだが、一応参考になるだろうと思って記事に紹介されているデータをもとにちょっと計算してみた。新聞名の横にあるのが昨年12月の発行部数で、括弧内が前年同期との比較。

  • 読売新聞:926万3,986部(-60万4,530部)
  • 朝日新聞:710万1,074部(-44万2,107部)
  • 毎日新聞:329万8,779部(-5万1,587部)
  • 日経新聞:275万5,34部(-2万5,585部)
  • 産経新聞:161万5,209部(-2,316部部)

 いわゆる全国5大紙はのきなみ部数を落としている。朝日新聞も確かに部数は落ちていて、その数はなんと44万部。しかし「朝日なんて読まずにこっちにいらっしゃい」というキャンペーンをやっていたはずの読売や産経などの保守紙も、やっぱり部数を落としているのだ。特に読売のこの下落はなんじゃい!

 もともとの発行部数が違うので、「朝日が44万で読売が60万の減だから、読売は朝日より1.4倍も落ちてるぞ」と言うわけには行かない。これはもともとの発行部数を分母にして、減少率を出さないと不公平だろう。

 というわけで計算してみた。

 読売新聞は前年同期比で93.87%、朝日新聞は94.14%、毎日新聞は98.46%、日経新聞が99.08%、産経新聞が99.86%という結果。発行部数が多い新聞ほど、減少率が大きいというきれいな相関性が出てしまった……。

 まあ比例関係と言うほどのことではないけれど、発行部数が多いところほど落ち込みは激しい。読売が一番ひどいありさまなのだ。しかし5%以上も発行部数が減って、読売と朝日はやって行けるのかな。これは読者の20人に1人が離れて行ったということだよ。とんでもない話だぞ。

朝日の部数減は不祥事と無関係?

 しかしこうなると「朝日新聞は本当に昨年の一連の不祥事で部数を落としているのか?」という疑問がわいてくる。朝日は確かに部数を落としているが、これは「大新聞ほど部数を落とす」ということの表れの一部かもしれないぞ。だって読売は特に大きな失点はないのに、朝日以上に部数を落としているんだからね。

 なぜ全国紙の中でも突出して部数が多い、読売と朝日の部数が激減しているのだろうか? たぶんこうした大部数の新聞というのは、読者の側が「なんとなく」取っていたんだろうね。

 日経や産経は何だかんだ言って特徴のある新聞だから、読者は何らかの明確な意図があってそれらを購読している。だから部数の減りはさほどでもない。でも読売朝日なんて、これだけ読者がいると極端なことも言えなくなって、毒にも薬にもならない記事が増えてくる。

 「なんとなく読売でもいいや」とか「とりあえず朝日新聞を取ってます」という購読者が大勢いないと、900万部とか700万部なんて発行部数にはならないのです。でもこういう読者は「なんとなく」で「とりあえず」だから、離れるときも「なんとなく」や「とりあえず」で離れちゃうんだよ。

新聞はもうダメダメ

 ABCのデータを見る限り、一昨年から昨年にかけて部数を伸ばした新聞はほとんどない。地方紙の中のほんの数紙が部数を伸ばしたというデータが出ているけれど、他の新聞は軒並みダウンだ。新聞は購読者というパイをライバル紙間で奪い合うパイの切り取り合いをしているのだが(昨年の朝日バッシングなどはその代表例)、じつは新聞市場というパイそのものが急激に縮小していることをもっと深刻に考えた方がいいと思う。

 あらかじめ言っとくけど、これは「新聞に対する低減税率導入」とかで何とかなるような話じゃないよ。新聞は今後何をしたって衰退していく。だから新聞業界全体で、今後どうやったら新聞というメディアが生き残れるかを真面目に考えた方がいいよ。

 他社の失点を見つけてバッシングしている暇があったら、むしろ業界全体で協力し合って、失墜した新聞の信頼を取り戻すために協力し合った方がいいよ。それをしないまま「このすきにあわよくば読者を横取りして」なんて考えているから、新聞業界全体の評判が悪くなる。

ダメでも消えないのがメディア

 新聞はもうかつての隆盛を取り戻すことがないと思う。少なくとも発行部数に関しては、「1,000万部超えます!」みたいな時代はもう来ないでしょう。でもこうして衰退したメディアも、そのまま消えてしまうことはない。ネットがあれば新聞はいらない? そんなことはない。ネットがどれだけ普及しても新聞は残る。

 それは映画産業という前例を見ればわかる。テレビが出てきて映画は消えるかと思われた。でも消えていない。日本の映画人口のピークは1958年だけど、その後も消えずに半世紀以上生き延びている。映画人口は数分の1に減り、かつての大手映画会社の幾つかは潰れて消えた。でも映画産業自体は、ちゃんと生き残っている。

 新聞も同じ。今後そう遠くないうちに、大手のどこかが潰れるかもしれない。潰れるでしょう。でも潰れたからといって、全体がダメになるわけじゃない。発行部数が今の数分の1に減っても、新聞は生き延びていくと思う。

 というか、生き残る方法を考えてくれよ〜、という感じかな。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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