テロ組織との戦いに改憲は不要

日本国憲法をリライトする

 「イスラム国」に拘束されていた日本人の殺害を受けて、日本では改憲派がずいぶんと盛り上がっている。こういうのはなんて言えばいいのかな。ずいぶん威勢よくメートルを上げちゃってる感じ? 「メートルを上げる」というのは気炎を上げるとか、酒に酔って上機嫌になっている様子のことだけど、まあ産経新聞だの有象無象のネット保守だのの様子を見ていると、これはもう「酔っている」としか言いようがない。

 「憲法9条がなければこんな事件は起きなかった」とか「憲法9条がなければ人質を救出できた」とか、もう言っていることが無茶苦茶だよ。今回の事件は憲法9条関係ないって! 日本が抱える問題点を、何でもかんでも憲法9条で説明しようとしなさるな。そのうち「学力低下は憲法9条のせいだ」とか、「憲法9条がなければ少子高齢化も解決できる」とか言い出すんじゃないかね。(ひょっとしたらもう言っているのかもしれないけど。)

 しかし今回の事件を受けて、日本も国際的な「イスラム国」包囲網の中に積極的に入っていこうという動きが出てくることは間違いないと思う。改憲論者はそこで言うだろう。憲法9条がなければ日本も「イスラム国」への武力行使に直接参加できるのに……と。

 ジャーナリストには「危険な国や地域には行くな」と言ってパスポートを取り上げるくせに、自衛隊員には「危険なところに行け。お前も血を流してこい!」と命じたくてしょうがないんだから、なんだかヘンテコな話だと思うんだけどなぁ。ペンは剣よりも強し。日本では自衛官の命よりもジャーナリストの命の方が大切だってコトかなぁ。

 ところで日本は本当に、憲法9条を改正しないと「イスラム国」への武力行使に参加できないんだろうか? いや、参加できると思う。たぶん参加しても問題ない。相手が「イスラム国」なら、武力行使しても憲法違反にはならないと思うよ。

 なぜなら日本国憲法には次のように書かれているからだ。

第二章 戦争の放棄
第九条  日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
○2  前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

 多くの人が勘違いしていることだが、じつは自衛隊というのは合憲なのだ。日本は『国際紛争を解決する手段』としての武力行使を永久に放棄しているが、日本に対する武力攻撃を防ぐ専守防衛は『国際紛争を解決する』ことではないので、そのための武力を持っていても違憲とは言えない。

 改憲論者の中にはこの程度のこともわからないまま、「自衛隊は既に違憲状態なのだから、現実に合わせて憲法を改正せよ」などと言っている人がいる。これはとんでもない話で、自衛隊は自国防衛のために働く限りは憲法違反ではないのです。これ、基本中の基本だよ。

 では自衛隊が海外に出て行くときはどうなるのか? その時も、自衛隊の目的が『国際紛争を解決する』ことでなければ問題ない。国同士の紛争が一段落して休戦状態になったとき、それを監視するような活動は問題なく行える。戦争が終わった後に地雷や機雷を除去し、現地を平時の状況に戻していくというのも、自衛隊の活動として容認されている。

 では相手が「イスラム国」の場合はどうなのか?

 これは「イスラム国」との戦いが、『国際紛争を解決する』ことを目的としているのかという話になる。でもこれって国際紛争なのか? 少なくとも「イスラム国」は自分たちで国家を自称しているだけであって、実際のところは大規模な武装グループだと見なされている。テロ組織だ。だとすればそれを攻撃しても、『国際紛争』には該当しないんじゃないか?

 「イスラム国」との戦いが『国際紛争』ではないのだとすれば、そこに自衛隊を派遣して爆撃や地上戦に参加しても憲法違反にはならない。改憲論者は「イスラム国」との戦いに憲法改正が必要だと考えているらしいが、じつはそんなもの必要ないのだ。

 憲法前文には次のように書かれている。

 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

 「イスラム国」支配地域の住民が『恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利』を守るために、日本は自衛隊を出すべきだという議論はあってもいいのかもしれない。それこそが『平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ』日本国民のあるべき姿かもしれないぞ。

 とりあえず、「イスラム国」は何とかしなきゃいかんと思う。そのために、日本は出来る限りのことをすべきだと思う。だがそのために、憲法を改正する必要はない。憲法を改正しなくても、あの地域に自衛隊を出すことはできるし、イスラム国相手に武力行使を行うことだってできる。(そのための法整備は必要だろうけどね。)

 どさくさに紛れて憲法を改正したがる連中は多いだろうが、ごまかされてはいけない。日本人は現行憲法下で、まだまだ出来ることがたくさんあると思うのだ。まずは憲法をよく読んで、憲法の範囲内でできることとできないことをよく考えるべきだと思う。「イスラム国」相手の武力行使なんてものは、昨年話題になった「集団的自衛権」などに比べればずっとシンプルな話だと思うけどな。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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