「迷いは悟りの第一歩: 日本人のための宗教論」を読む

迷いは悟りの第一歩: 日本人のための宗教論

 ドイツ出身の禅僧、ネルケ無方の新刊「迷いは悟りの第一歩: 日本人のための宗教論」を読んだ。同じ新潮選書からは著者の生い立ちや仏教との出会い、日本への留学から住職になるまでを書いた自伝「迷える者の禅修行―ドイツ人住職が見た日本仏教―」が出ていて、今回はその姉妹編のような内容になっている。

 サブタイトルは「日本人のための宗教論」となっているが、著者が幼い頃から親しんできたキリスト教と、その後導かれることになった仏教の教えを比較しながら、両者の違いと共通点について書かれた内容になっている。仏教についてはいろいろな教えがあって宗派によって考え方が違うのだが、著者は曹洞宗の禅僧という立場から仏教について語る。こうして自分の立ち位置が明確なのはわかりやすい。

 キリスト教概論、仏教概論としては特に目新しい部分がないのだが、面白いのは著者自身の体験を通して「悟りとはなんぞや?」という仏教の目的に迫っていく部分だろう。「無我の境地=悟り」だ。しかし「悟りたい」と願っているうちは、「悟りたい自分」「悟るべき自分」にとらわれていて「無我」には成り得ない。「無我の境地」を獲得するためには「悟りたい」という気持ちを捨て去らねばならない。これはパラドックスだなぁ……。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 読書

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