「はじめての聖書」を読む

はじめての聖書

 橋爪大三郎の子供向け読み物「はじめての聖書」を読んだ。河出書房新社が「中学生以上」を対象に出している「14歳の世渡り術シリーズ」の中の1冊だ。

 この著者は現在の日本でキリスト教関連の本をおそらく一番出している物書きのひとりだろうし、キリスト教や聖書に固有の表現を学校の先生らしく巧みな比喩で説明するのも上手い。しかしながら内容的にはかなりデタラメな本も出していて(「ふしぎなキリスト教」と「世界がわかる宗教社会学入門」なんてひどいものです)、キリスト教関係者やキリスト教に興味のある読者からの風当たりも強かった。

 著者はこの本と前後して大人向けの創世記解説本「これから読む聖書: 創世記」も出しているのだが、そちらはかなり退屈な本だった。しかしこの子供向けの聖書入門は面白い。内容的には相変わらずの「橋爪節」もあって苦笑いなのだが、全体としてはコンパクトにまとめられた聖書物語や聖書概説書になっている。

 僕は「これから読む聖書:創世記」を三流牧師の説教みたいだと思ったが、この「はじめての聖書」は教会学校で奉仕の先生が語る「聖書のおはなし」みたいなものだと思った。教会学校というのは牧師が子供たちに噛み砕いた話をすることもあるのだが、ほとんどは教会員である一般信徒が簡単を引き合いに出しながら、日常の役に立ちそうな道徳的な訓戒を語ったりするわけだ。

 橋爪大三郎がクリスチャンであることはよく知られる事実だが、この本はこれまでに彼が出してきたキリスト教関係や聖書関係の本の中でも、「信徒の立場からの言葉」が一番ストレートに発信されているものであるように見える。

 同じくキリスト教徒である文筆家の佐藤優は、最近自身がキリスト教徒であることを明らかにした上で、積極的にキリスト教関連の本を出したり、キリスト教との立場から発言したりしているように見える。橋爪大三郎もひょっとすると、今後はキリスト教徒としての立場を明らかにした上で、さまざまな発言をして行くようになるのかもしれない。ことここに至ったら、もうそこまで踏み込んじゃえばいいのに……と思わせるような本だった。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 読書, 日記

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