「江戸しぐさの正体」を読了

江戸しぐさの正体

 原田実の「江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統」を読み終わった。「江戸時代に実在した習慣や庶民のマナー」という触れ込みで喧伝され、多くの日本人がその存在を信じて疑わない「江戸しぐさ」なるものが、じつはここ数十年で発明されて啓蒙普及活動が行われた「にせもの」であることを論破した本。

 まあ「にせもの」を本物だと信じる人がいたって一向に構わないのだが、問題はこれが教育現場に持ち込まれて道徳の教材として使われていたりすることなのだ。そこでは「江戸しぐさ」が虚構であることなど説明されず、実際にあったことだと説明されれば、ほとんどの人はそれをうっかり信じてしまう。世の中では多くの大人が「江戸しぐさ」に騙されているのだから、子供たちなどイチコロだろう。

 「江戸しぐさ」はその作者たちが現代社会での不平不満を払拭するため、そうした不平不満のない理想化した江戸庶民の暮らしを想定し、ユートピアとしての江戸時代を作り上げた歴史ファンタジーなのだ。野村胡堂の「銭形平次」みたいなものだろうか。「銭形平次」は江戸文化研究家の三田村鳶魚などからはコテンパンにやられていたが、作者自身は作品の時代考証がデタラメであることを承知の上で、庶民の理想郷としての江戸の庶民生活を描き続けた。小説や時代劇映画(時代劇ドラマ)ならそれでもいい。でも「銭形平次の江戸時代こそが本当の江戸時代で、岡っ引きは下手人を捕らえる時にふところから取りだした銭を投げた」などと歴史の本に書いてあったら大ごとだ。「江戸しぐさ」はその大ごとをやらかしている。

 午後は『エクスペンダブルズ3』の最終試写。楽しかったです。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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