世界写真の日

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 8月19日は「世界写真の日(World Photo Day)」なんだそうだ。今から175年前の1839年8月19日、フランス学士院科学アカデミーの定例会で銀板写真に関する公開講演が行われた。この技術は発明者の名前にちなんでダゲレオタイプと呼ばれるのだが、フランス政府は多額の年金と引き替えに発明者のダゲールから特許を買い取り、写真に関する技術を広く公開した。これによって銀板写真はあっと言う間に普及して、現在につながる「写真の時代」が幕を開けたのだ。

 技術は細かな改良の積み重ねによって成立しているので、写真がいつ発明されたかを明示することは難しい。写真の先駆者であるニセフォール・ニエプスは1820年代には感光させた画像の定着に成功していたが、これは露光時間が数時間というもので実用性があまりなかった。(そのため被写体は絵画や彫刻や静物だった。)ダゲールはニエプスと共に写真の研究をしていた人物で、ニエプスの死後にダゲレオタイプの技術を開発したが、それでも露光時間は数分から数十分に及んだという。幕末の日本を撮影した写真がよく紹介されるが、技術としてはこのダゲレオタイプを使用している。

 写真撮影の露光時間を短くすることは写真術の重大テーマで、多くの発明家たちがこれに挑んだ。その結果、露光時間は数分から数秒に短縮され、さらに数分の1秒、数十分の1秒にまで短縮される。これによって物体の運動を静止画として撮影することが可能になると、これが映画につながってくる。映画は1秒間に12コマ〜18コマぐらいを撮影するので、露光時間は最低でもそれ以下にならないとならない。映画の発明者として知られるリュミエール兄弟は、もともと写真技術の発明家として高感度フィルムを作っていたのだ。これはバケツでまいた水が静止して写る、飛び跳ねた人間が空中で静止して写るという優れものだった。どちらも今なら当たり前のことだけどね……。

 なお日本では6月1日が日本写真協会に制定された「写真の日」になっている。これは天保12年(1841年)のこの日に日本で初めて、日本人の手による写真撮影が行われた日……ということで1951年(昭和26年)制定されたのだが、その後の研究によってこの日付が間違いだったことがわかったらしい。そのため日本版の「写真の日」は、由来としては特に何もない日になってしまっている。ま、記念日なんて得てしてそんなもんだよね。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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