「ニッケルオデオン」を読む

ニッケルオデオン赤

 道満晴明の「ニッケルオデオン【赤】」「ニッケルオデオン【緑】」を読んだ。【赤】は2012年2月、【緑】は2013年2月の初版発行なので、新しい作品というわけではない。著者の道満晴明については何も知らない。アマゾンで「ニッケルオデオン」をキーワードに検索していたらこの作品が見つかり、ユーザーレビューでもわりと評価が高そうなので買ってみただけだ。

 「ニッケルオデオン」とは20世紀初頭にアメリカを席巻した簡易映画館のことで、1905年にペンシルベニア州ピッツバーグにこの名前の簡易映画館ができたのを皮切りに、わずか数年で雨後の竹の子のように全米各地に同様の映画上映施設が乱立した。入場料が5セント(ニッケル硬貨1枚)だったことにちなんだ名前だ。貸店舗や倉庫を改造しただけの簡単な作りだが、窓をふさいで室内を暗くし、ベンチを並べ、スクリーンと映写機を1台だけ用意すれば映画が上映できたので、設備投資のあまり要らない商売だった。長編映画だと映写機2台で交互にフィルムを上映するのだが、ニッケルオデオンで上映している映画はフィルム1巻に収まる短編ばかりだったのだ。

 ピーター・ボグダノビッチは1976年の映画『ニッケルオデオン』で、この時代の中小零細映画業者がハリウッドで巨大映画産業に発展していく様子をコミカルに描きだした。ただしこうした話は、道満晴明の「ニッケルオデオン」とは直接なんの関係もない話。映画館のニッケルオデオンと道満晴明のコミック作品の共通点は、そこで上映されている(収録されている)作品がどれも短編だということぐらいだ。

 それで「ニッケルオデオン【赤】」と「同【緑】」の感想だが、あまり僕の趣味ではなかったなぁ……。内容はファンタジー、SF、ラブストーリー、スリラー、アクションとさまざまなのだが、どれも数ページのショートショートなのでストーリーの骨組みしかないのが少し味気ない。エピソードによってはキャラクターのつながりで少し世界を膨らませているので、繰り返し読んでいるとまた別の楽しさがあるのかもしれないけどね。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 読書, 日記

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