名張毒ぶどう酒事件についてのトークイベント

約束

 映画『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』の上映目当てで、アムネスティ・インターナショナルが主催する「シリーズ 冤罪と死刑 2014 その二」という映画上映会とトークショーを組み合わせたイベントに行ってきた。

 会場は神田駿河台の明治大学リバティタワー。最初に映画の上映があり、これがだいたい2時間。その後は3月に再審開始が決定した袴田事件の袴田巌さんの姉・袴田秀子さんお挨拶と近況報告、映画監督・森達也さんの簡単な話、名張ぶどう酒事件の関係者・浜田信士さんの話があり、最後に森さんと浜田さんによる対談。

 映画の感想は別のところに書くことにして、その後のトークショーについての感想だが、これはやはり時間が短かった。袴田秀子さんが20分、森達也さん15分、浜田信士さん20分、対談が30分。参加者がそれぞれ話すべきことを話して終わってしまい、対談もあまり話が噛み合ったり発展したりすることはなかったし、最後の質疑応答もまったく時間がなかったのでみんな遠慮してほとんど誰も手を挙げなかった。

 しかしそれでも、これはなかなか感動的な時間でもあった。浜田秀子さんの姿はニュースや雑誌などでも拝見したことがあるが、その本人が目の前にいて、袴田さんについての今現在を話していただけたのは感激だった。僕が袴田事件について詳しいことを知ったのは高橋伴明監督の映画『BOX 袴田事件 命とは』だったが、これは実在の事件を扱っているとはいってもあくまでも映画の中の話。今日は秀子さんの話を聞いて、ようやくこの事件がわれわれの暮らしている世界と地続きにある現実なのだということが肌で理解できたような気がする。

 それは映画『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』でも同じで、今日のゲストとして話をしてくれた浜田さんの話を聞くと、これが今このとき、実際に起きている現実の出来事なのだということが感じられる。浜田さんは事件で農薬入りのぶどう酒を飲まされたたものの、一命をとりとめた被害者女性の息子であり、子供の頃から事件のことは周囲の大人たちによく聞かされていたのだという。そのため奥西勝(映画では仲代達矢が演じている)が犯人だということをつい最近まで疑ったことがなく、最近になって逮捕起訴から裁判の経緯について詳しく知って動揺したという。

 ときどき声を詰まらせながら、事件が起きた集落の「現実の暮らし」について語っていた浜田さんだったが、実際そこにどんな難しい問題があるかはよそ者である我々には正直よくわからない。ただ、そこに今も事件と関わりの深い人たちが、静かに生活し続けているという生々しい感覚は伝わってくる。

 このイベントは長年死刑廃止運動に取り組んでいるアムネスティ・インターナショナルの主催だし、イベントのテーマが「冤罪と死刑」なのでもっと死刑廃止論にフォーカスが当たっていくのかと思っていた。だが実際は現在の司法制度の問題点、つまり「冤罪」を生み出すメカニズムに焦点が当たっていたように思う。このあたりは主催者側としても、多少思惑が違う面があったのかもしれない。「袴田さんが48年ぶりに保釈されたことはマスコミでも大きな話題になった。無実の人間が死刑になりかけていたのだから、死刑という刑罰の是非がもっとマスコミで論じられるかと思ったらそうはならなかった」とアムネスティの事務局の方がポロリと漏らしてました。

 そう言えば、ほんの少し前に久しぶりに死刑が執行されたときも、あまり話題にならなかったしなぁ。それより世間は、都議会や国会でのセクハラ野次問題の方が気になっていたようです。まあそれはそれで大事な話題だと思うけど、死刑制度も大変な話ですよ。

 僕自身が死刑についてどう考えているかは、また別の機会に……。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 日記

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