「ふたりの笑タイム 名喜劇人たちの横顔・素顔・舞台裏」を読む

ふたりの笑タイム

 図書館に予約していた小林信彦と萩本欽一の対談本「ふたりの笑タイム 名喜劇人たちの横顔・素顔・舞台裏」が届いたので早速読んだ。小林信彦には「日本の喜劇人」などの著書があるし、親交の深かった渥美清や植木等についての本も出している。それらの本を読んだことがある人からすれば、今回の本は情報量としては中身の薄い本に思えるかもしれない。だがそれでも僕は、この本を面白く読んだし、ある意味では感動的ですらあった。

 小林信彦は「お笑い」という言い方が嫌いで「笑い」と言うのだが、この本のまえがきで萩本欽一もそれにならって「笑い」と書いているのがまず嬉しい。この本で取り上げられているのは昨今の「お笑いタレント」ではなく、「笑い」に人生をかけた芸人や、笑いを生み出す名人や職人たちの世界なのだ。

 昭和の芸能史における「浅草」や「丸の内」の位置づけや、東宝ミュージカルと菊田一夫の黄金時代、石田瑛二の才能、八波むと志と三木のり平の伝説的なぼけと突っ込みなど、その時代の中で生きてきた人たちならではの話が出てくるのが面白い。何しろ半世紀以上前に劇場で一度きりみただけの喜劇の台詞や挿入歌などを、この人たちはそらで暗誦したり歌って見せたりするのだ。それだけ当時の舞台には、強烈なインパクトがあったということなのだろう。

 今でも小さな劇団が小劇場で喜劇を上演することはあるが、戦後の一時期の喜劇全盛時代には、大劇場で豪華出演陣による喜劇作品が連日上演され、劇場全体が波打つかのように観客が笑い転げていたらしい。当時のコメディアンは同時代の映画にもよく出てくるが、小林信彦と萩本欽一に言わせると、映画は舞台で客席を沸かせたコメディアンの芸を殺してしまうとのこと。確かにそういう面はあるのかもしれない。

投稿者: 服部弘一郎 カテゴリー: 読書, 日記

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